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同じ部屋で寝ている人に気を使いながら、荷物を外に出して、1階に下りて、フロントにて、チェックアウト。鍵を返却してデポジットを受け取る。 YHの外で荷物を装着し、マーケット通りに出て、北東に向かう。まだ朝早いので、空気は冷たく、マーケット通りの人通りは少ない。 |
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| SF市内とOaklandのEmeryvill駅を繋ぐAmtrakのコネクティングバス |
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すぐにマーケット通りが海に突き当たった所にあるフェリー・ビルの近くにある、一昨日切符を買ったアムトラックの窓口の建物に到着。自転車の荷物を外して、折り畳んで待合室に入って待っていると、サン・フランシスコ市内と、アムトラックの駅、オークランドのエメリビル駅を結んでいるコネクティング・バスが到着したとのアナウンスがあり、みな荷物を持って外に出てゆく。私も、荷物を担いで、畳んだ自転車を転がしてみんなの後に付いてゆくと、エンバーカーデロ通りにコネクティング・バスは止まっているのが目に入った。てっきり待合室の前までバスが来る物と思っていたが、こんな事なら、待合室まで来るんではなかった。 自転車とザックをトランクに積み込んで、乗車。ゆったりしたバスで、車椅子のためのスペースと、乗降をサポートするための機器がある。アムトラックはもちろん車椅子の人が利用できるわけだから、そのためのコネクティング・バスも同様の設備が付いているというのは頷ける。 |
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コネクティング・バスは、ベイブリッジを経て、サン・フランシスコ湾の対岸のオークランドに渡り、アムトラックのエメリビル駅に到着。荷物を下ろして、駅の待合室に向かう。まるで空港にあるようなチェックイン・カウンターがあり、大きな荷物を預けている人がいる。私も、畳んだ自転車にカバーを掛け、ザックにもレインカバーを掛けてチェックインしようと、チケットを見せると、チェックインの必要はないと言う。待合室内の自動販売機で、水を買い、売店で、コーヒーを買って飲む。 列車が到着したようなので、飲みかけのコーヒーに蓋をして、荷物を抱えて、プラットホームに出る。チケットに記されているのは、列車の番号だけで、特に指定席の番号はないので、適当な車両に乗り込む。1階は、トイレと荷物置き場や少々の座席があるだけで、座席のメインは2階のようだ。自転車を荷物置き場に残して、2機に上がる。アムトラックは大きくて、ゆったりしている。乗客は少ないので、テーブルのある4人がけの席を占拠して、コーヒーを飲みながら、出発した列車の車窓からボート外を眺めていると、地下鉄BARTの車両基地が目に入った。ここベイ・エリアに来てさんざん利用した地下鉄がたくさん止まっているのが目に入る。この辺はBARTの終点のひとつ、リッチモンドのあたりだ。 朝食を買いに隣の車両のビュッフェに行き、適当にサンドイッチやブリート、オレンジジュースも買う。座席に戻り、テーブルに広げてゆったりと朝食開始。とてもリッチな気分だ。 |
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| Amtrakの車窓から眺めるCaliforniaの大地 |
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サン・フランシスコ湾岸のオークランドを出たアムトラックは、リッチモンドを通過し、サン・パブロ湾、スイスン湾岸を走り、ストックトン駅に到着。朝は車窓から少々小雨がぱらついているのも見えたが、時間が経過しとても天候が良くなってきた。ここからは、サン・ウォーキン谷というカリフォルニア州の内陸に横たわる巨大な谷に入る。谷と言っても、ざっと幅100km、長さ300kmほどあり、これだけ大きければ、平野というか、平原である。モデストという所をすぎると、山は遠くなり、ひたすらカリフォルニアの大地が車窓に広がる。 テーブルの下をふと見ると、電源コンセントがある。ポータブルなパソコンはもちろん、テーブルの上で電気製品が使えるわけだ。早速、昨日購入したバッテリーを充電を開始する。今手持ちのバッテリーでは、撮影が多いと、一日持たないこともあるので、これで安心だ。 机の上にヨセミテの地図や資料を広げてこれからのサイクリングをどうしようか検討していると、隣のテーブルの高齢者のグループの一人のご婦人が、メモを渡してくれた。もうすぐ、下りるべきマセードに着く時間だというような意味のことが書いてある。私がヨセミテに行くのは見ている地図や、風体でわかったようで、親切に教えてくれたのだ。アドバイスに従い、地図や資料をまとめて、下車の準備をして待っていると、アムトラックはマーセド駅に到着。列車を降りると、とても良い天気で暑いぐらいだ。すぐ近くに真っ白いバスが停まっていて、ヤーツと書いてあるので、ヨセミテ国立公園エリアとの間を結んでいるバスだ。チケットを見せて、トランクに荷物を入れてもらい乗り込む。 バスに乗り込む際、前にいたバックパッカーの女性が、YHのバス停に到着する時刻を運転手に聞いている。どうやらYHの利用者のようだ。私も今後の行動の計画を立てるために、バスの時刻を詳細に知りたいが、あいにくアムトラックと接続しているバスの運行時刻しかわからないので、時刻表を運転手からもらう。奥の方の座席に座ると、バックパッカーの女性が近くの席だったので、時刻表をもらえるとアドバイスすると、彼女ももらいに行っていた。 |
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11時前にマーセド駅を出たヤーツのバスは、乾いたサン・ウォーキン谷を一直線に東に向かい、シェラ・ネバダ山脈に入る。前の席に座っている人は、日本からの観光客の家族で、男性は、しきりにバスの車窓の景色をビデオに収めている。彼の使っているのは、私のと同じメーカーのカムコーダーなので、操作時に発生する音が同じで、ちょっとどきっとする。全てパックされた日帰りのツアーらしく、昼食のランチ・ボックスを渡されて持っている。日帰りで時間がないツアーなので、昼食はバスの中と言うことなのだろう。 バスは、こぢんまりしたマリポサの街を抜け、今晩宿泊するミッドパインズを過ぎて、一度大きくマセード川の谷に下り、マセード川沿いにゆっくり登る。だんだん谷が深くなってきて、川の脇に断崖絶壁が現れてくる。かなり谷が狭くなったところに、ヨセミテ国立公園のゲートがあり、バスが一瞬そこに止まり、なにやら書類を渡していた。いよいよ、ヨセミテの谷に入る。 ヨセミテの谷に入ると、車道は2つに別れ、お互い一方通行になる。谷の中央を流れるマーセド川の両側に分かれる形だ。バスの車窓から、写真で見たことのある巨大な岩山や、滝を見ながら、バスは川を渡り、終点のヨセミテ・ロッジに到着。ここで全員バスを降りる。 このヨセミテ・ロッジは国立公園の事務所が運営しているようで、各種ツアーの申し込みや、ヨセミテ国立公園全体のインフォメーションの役割もしているようだ。ザックや使わない荷物を預けるべく、コインロッカーなど無いかと尋ねてみると、無料で荷物を預かってくれるとのこと。とても助かる。 ひたすらガイド・ブックや地図を参照し、今日の予定を考える。今日泊まるYHに行くためのバスは、ここを5時20分に出るバスがあるが、その後は最終の8時15分だ。この3時間の間にバスがないのは辛い。5時では、まだ日も高いだろうし、帰途につくには惜しいし、どちらのバスを利用するか迷う。ヨセミテ・ロッジの建物の前には日本人観光客の団体も来ていて、これ幸いと、ガイド役の人の話に耳を傾けると、なにやらグレーシャー・ポイントへの道路は、先日冬季閉鎖が解かれたばかりで、今の季節、行かない手はないとのこと。グレーシャー・ポイントは、とても高い所にある展望台なので、自転車で登るのは大変そうだが、その話を聞いて行ってみたくなった。 |
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ヨセミテ・ロッジの前の駐車場を抜けて少々行くと、いきなりどかんと正面に滝が見えた。これがヨセミテ国立公園かと度肝を抜かれる。上下に二段階の滝で、ヨセミテの滝らしい。近づいてゆくと、専用の駐車場があって、多くの人が集まっている。車止めの所に自転車をロックして、正面の道を滝に向かって歩いてゆくと、下の滝の展望ポイントに到着。多くの人が滝を見物している。写真を撮ろうとカメラを向けるが、この時期、雪解け水が多い時期で、風向きによっては、水しぶきがまるで雨のように降ってくるのでタイミングが難しい。 |
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ヨセミテの滝をしっかり拝んだ後は、サイクリング・ロードの通りに自転車を走らせる。すぐ隣のエリア、ヨセミテ・ビレッジという所には、レストランや売店が集まっていて、売店でチョコレートと、デニッシュを買って、昼食代わりに食べる。 早々にヨセミテ・ビレッジを後にして、サイクリング・ロードを走る。林の中を走って、視界が開けたと思ったら、正面にハーフ・ドームの岩山が現れた。ドーム状の岩山が半分崩れ落ちたような感じで、名前の通りの形だ。このハーフ・ドームは、昔からヨセミテのシンボルとして、さんざん写真やイラストで見ているので、本物を見ることができたことに感動し、しばしペダリングを止めて、見入ってしまう。とにかく、大きく、近づくにつれ、大きさが増してくる。 |
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| | Mirror Lakeに映るBasket Dome? |
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サイクリング・ロードの分かれ道があったので、左側の谷の端の方向に行ってみる。せっかくなので隅々まで回ってみたいと思うので、谷の北東の隅になるミラー湖の方角に行ってみる。途中から道幅が広くなり、車も余裕で通行できるような道になり、川にかかる橋も立派な物だが、自動車は通行止めだ。自転車用にはとても無駄な車幅なので、昔は車道だった物を今ではサイクリング・ロードとしているのだろう。 マーセド川の支流に当たるテナヤ・クリーク沿いの道を登ってゆくと、いきなり登りの角度がきつくなてきた。鹿が木々の間から道に出てきて、観光客の手荷物を狙っているのが目に入る。頑張って登ってゆくと、ミラー湖が見えてきた。奥に見える岩山は、バスケット・ドームだろうか、名前の通りミラー湖の湖面に映り、とても美しい景色を作っている。舗装道路の終点に自転車を止めて、歩いて奥に行ってみると、湿地帯があって、もっと奥にあるテナヤ渓谷の景色と相まって素敵な景観を作り出している。 |
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ミラー湖から広い道をテナヤ・クリーク沿いに快調に下り、橋を渡り少々行くと、三叉路に出たので、左に方向に向かう。この道も自動車の通行は付加のようだが、谷の中を巡回している無料のシャトルバスだけは走っていて、何度かすれ違う。 マーセド川を渡ったところに、何か施設があるので川沿いに登ってみる。ハッピー・アイルス・ネーチャー・センターという施設があったが閉まっていたので、自転車を置いて歩いてみる。2つほど橋を渡って、マーセド川のなかにある中州だろうか、ハッピー島に行ってみる。歩くためのルートもとても整備されていて、感心する。歩いていて気持ちよい。終点まで行ってみて、引き返してくる。 |
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ヨセミテの谷にあるヨセミテ・ビレッジ以外のもう一つの集落、カレー・ビレッジに向かう。途中、一般の自動車が通行止めにするゲートがあり、その先から車が多くなり少々走りずらくなる。それももやがて歩道が自転車レーンとなり、走りずらさもすぐに解消されるのだが。 カレー・ビレッジの手前で、ふと後ろを振り返ると、ハーフ・ドームがどっかーんとそびえている。先ほど見たのとはちょっと違う角度で、またこれも良い感じだ。セルフ・タイマーでしきりに写真を撮影する。 カレー・ビレッジに入ると、大きな駐車場があり、その奥にお店がいくつか有る。アウトドア用品を扱う店もあって、近いエリアにキャンプ場が沢山あり、その拠点になっているようだ。キャンプに来たと言う感じの人が行き来している。荷物にならないような土産を少々購入する。 ふと時計を見ると、とっくに5時を過ぎている。覚悟はしていたが、ヨセミテ・ロッジを5時20分に出るバスはとっくに出てしまっているので、3時間近く後の最終バスに乗るしかない。 |
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地図によっては、これからの区間はサイクリング・ロードがとぎれ、車道と同じ所を走ることになるようだ。しかし、この区間は自動車の一方通行の方向と逆になる。ヨセミテ・ビレッジ方向に進路を変えなければならないかと思っていたら、さにあらず、車道と平行にサイクリング・ロードが続いていたので、先に進むことにする。 道の左側に、センチネル・ドームを背に、小さな教会があったので、写真を撮り、先に進むと、バスで通った橋が見えてきた。その橋を渡らず、道なりに行くと、サイクリング・ロードは車道から離れて、心地よい湿原の中を走るようになる。人だかりがしているところがあって、マーセド川を渡るスインギング橋があり、自転車を押してその小さな木製の橋を渡る。そこからヨセミテの滝がよく見えるので人が集まっているのだろう。 |
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スインギング橋を渡ると、サイクリング・ロードはぐるっと方向を変えて、走りはじめた地点である、ヨセミテ・ロッジに向かう。マーセド川を取り囲んでいる湿地帯の中を気持ちよく走っていると、見覚えのある景色に出くわした。そう、ヨセミテの滝が正面に見える地点だ。よく考えると、ヨセミテ・ロッジは通り過ぎてしまったようで、少々戻る。 バスの時間までは、まだ30分近くあるが、日も暮れかかっているし、明日も一日有るので、今日は切り上げ、昼に日本人の団体観光客のガイドが言っていた、グレーシャー・ポイントへのバス・ツアーの時間を確認すると、片道チケットもあるようで、自転車ごとバスで登り、ダウンヒルを自転車で楽しむというアイディアを思いついた。YHに戻ったら、じっくりルートを確認しよう。 フロントに預けた荷物を受け取りに行く。ちょうど日本人らしき若い男性が、私とほぼ同時に預けた荷物を受け取りに来ていた。目があったので、挨拶すると、同行の女性と同じヤーツ・バスを待っているという。その2人とは、バス待ちの間、ベンチに座っていろいろ話をする。彼らが宿泊しているのは、YHよりずっとヨセミテの谷に近い、ヨセミテ・ビュー・ロッジと言うところとのこと。到着したヤーツ・バスが来たので、乗り込む。バスに乗り込んだのは、我々を含めてほんの5人程度。切符を持っていなかったので、ヨセミテ・バグ・ホステルのバス停までの往復$10を運転手に支払うが、切符を持っていないので、明日の復路の分にと、名刺にサインをした物を渡してくれた。これを明日乗るバスの運転手に渡せばよいとのこと。 ヨセミテ・ロッジを出発して30分ほどで、2人の降りるヨセミテ・ビュー・ロッジのバス停に到着。もう日はどっぷりと暮れている。彼らも明日はヨセミテの谷に観光に来て午後に谷を離れるとのことなので、また会ったらよろしく。とお互い挨拶をして、バスを降りていった。 |
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ヨセミテ・ビュー・ロッジを過ぎると、バスは、マーセド川の反対側に渡り、いくつかのバス亭に寄って行く。来るときは、川の反対側には行かず、停まることの無かったバス停だ。再び、マーセド川のメイン・ルート側に戻り、シーダー・ロッジというバス停に停まった。次はいよいよ、YHのあるバス停、ヨセミテ・バグ・ホステルだ。 バス停に着いて、バスを降りて、すでに頭に装着していた懐中電灯のスイッチを入れて点灯し、自転車と荷物をトランクから取り出す。トランクを開けてくれた運転手が、頭の上の懐中電灯に感心している。バスが去るのを見送り、自転車を組み立てて、荷物を装着する。ここからYHまでは、暗い道を10分歩かなければならないと聞いているので、懐中電灯も含め、準備は万端だ。未舗装の道をゆっくり下ってゆくと、すぐにきつい登りになったので、素直に自転車を降りて押す。しかし、砂利が深くて、車輪を砂利に取られ、なかなか楽に押し上げることが出来ない。荷物が重いこともあるだろうが、とてもきつい。 |
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| Yosemite Bug Hostelにて夕食はサンドイッチとビール |
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バス停からYHまでの道中は街灯もない道なのでとても寂しい。たわいもないことだが、1台の車とすれ違って、この先にYHが有ることを確信する。頑張って押し上げていると、YHと思われる建物の明かりが見えてきた。そして、やっとYHの事務所と書いてある山小屋風のレストランに到着。レストランを通り抜け、奥の受付に行って、チェックインをする。2泊分の宿泊料金を支払い、夕食がまだだというと、レストランで出す夕食は9時までだが、サンドイッチは提供可能だという。 このヨセミテ・バグ・ホステルYHは、ロッジ形式のYHで、ドミトリーの建物があちこちにある。指定された建物は、一段高いところにあり、階段を上れば近いが、自転車があるので、一度YHの敷地外に出てから、別なルートで入る方が良さそうだ。自転車を押して登り、ドミトリーに入ると、同じ部屋に泊まっている男性が一人居て、挨拶を交わす。 ベッドの脇に荷物を置いて、レストランに戻り、やっと夕食。サンドイッチを頼むと、今はできないと言われたので、話が違うと思いながら、仕方ないのでカップ・ヌードルを買おうかと思っていたら、先ほどの受付の女性が厨房の人に指示してくれ、本来昼食用に用意している豪華なサンドイッチを出してくれた。お腹が空いているので、それとは別にポテト・チップスを購入して、噂の$1.50のバドワイザーをついでもらう。良い気持ちになって、ドミトリーに戻り、シャワーを浴びて寝る。 |