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YHのスタッフにヨセミテ国立公園にバスで行くにはどうしたらいいか相談すると、サン・フランシスコに戻ってからのアクセスが便利とのこと。グレイハウンド・バスの乗り場を教えてもらい、明日のチケットを購入しに行くことにした。モンタレーが始発なので、予約無しで乗れないようなことはないらしいが、念のためだ。 グレイハウンド・バスの乗り場は、ビジター・センターのある公園の向こう側にある。今日はサイクリング・ロードを使わず、あえて一般道を行くことにする。昨日通った街の目抜き通りがだんだん南にそれてきているので、どこかで東方向に曲がろうと思って走っている内に、かなり南の森の中に入ってしまった。今日は時間があるので、のんびり森林浴気分だ。 |
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地図で現在位置を確認すると、かなり南方向に登ってきたことがわかる。カーメル方面から来る主要道を越えたところで、北方向に斜めに下ると、そこは昨日パス・オブ・ヒストリーを走りはじめたあたりで、グレイハウンド・バスの乗り場の隣の公園も近い。結局、YHから30分ほどかかって、グレイハウンド・バスの乗り場に到着。ガソリンスタンドに併設された売店の中でサン・フランシスコ行きの片道バスチケットを買う。お店の人の話だと本当に事前に購入する必要はなかったようだ。 |
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昨日友達になったバドの家はここから近く、17マイル・ドライブの方向に行く途中だ。昨日、朝食でも食べに来てくれと言っていたので、覗いてみることにした。ノックするとバドが出来た。奥さんのシェリーは、仕事に出かけたらしく不在。招き入れられ一通り家の中を見せてくれた。大きな庭があるわけでもなく、外見は決して豪邸ではないが、中は豪華だ。地下に降りると、大きなビデオスクリーンと、脇にはポップコーンを作るためだけの電子レンジが置いてある。寝室も2つ有り、一つは使っていないので、今度モンタレーに来たときは、この部屋を利用してくれと言う。 裏口脇の納屋に行くと、カヌーとマウンテンバイク,ローラー・スケート等の遊び道具が揃っている。そして、建物の裏にはジャグジーがある。常時お湯が張られていてる。テレビなどで米国人のこういった生活を見ることはあるが、実際に一般市民と生活の現場を見せてもらって、人生を楽しんでいるなと感じる。昨日話していた、シナモンレーズンパンがあるので食べて行けというので、ご馳走になる。家の前で、記念撮影をして、今日の夕方のピクニックは是非参加すると約束して出発する。 |
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サイクリング・ロードに入り、ひたすら海岸線のルートをたどる。昨日見学したモンタレー・ベイ水族館を過ぎたところでパシフィック・グローブに入る。パシフィック・グローブは、蝶が沢山飛んでくるので有名な町らしく、愛称も、バタグフライ・タウンと言う。サイクリング・ロードを快調に走ると、今日の夕方、バドとシェリーがピクニックをするというラバーズ・ポイントの岬が見えてきた。しばしここで休憩して写真など撮る。 ラバーズ・ポイントを出て、先に進むとここからはサイクリング・ロードは無くなり、海岸線沿いの一般道を走ることになる。ラバーズ・ポイントから繋がっている、パーキンス・パークという所には、道沿いに細長くピンク色の花が植えられていて、目がくらむほどだ。少々行くと、道沿いどころではなく、公園一面にピンク色の花が咲いていて、圧倒させられる。ピンク色の花が、海との素晴らしいコントラストを作っていて、このピンク色の絨毯を目印に蝶が飛んでくるのだろう。 |
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モンタレー半島の一番北側の岬を回り、モンタレー・ベイの外側の海に面する海岸線を少々走ると、道は内陸に入り、少々登りになる。登り切ったところで、17マイル・ドライブの看板があり、交差点を右に曲がると、すぐにパシフィック・グローブ・ゲートが目に入った。 ゲートで自転車を止めて尋ねると、自転車は無料だという。自転車が17マイル・ドライブを走っても良いことは、事前に調べてあるが、土日などの休日は、走る方向に制限があるという話も聞く。地図をもらって、いよいよ噂に聞く、素晴らしいルートを走りはじめる。 パシフィック・グローブ・ゲート出ると、林の中を少々走り、三叉路に出た。海沿いのコースに出るため、素直に道路の右側を進んで、右の道に入る。快調に下り、スパニッシュ・ベイと呼ばれる海岸に出て、再び海沿いのコースをたどる。 |
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海岸沿いのコースは、平坦でとても走りやすい。17マイル・ドライブのコース上の見所のポイントそれぞれには看板が出ていて、番号が振られている。リリース・ストレス・シーという看板が目に入ったので、駐車場に入ってみると、この辺は地形的に海が荒れるようで、それを眺めるポイントのようだ。 道の内陸側にはゴルフ場があり、ゴルフ・カートが走っている。良く見るとその中をなんと、鹿が数匹歩いている。この17マイル・ドライブのあるエリアは、ゴルフ場があるぐらいで、国立公園などではないが、海だけでなく陸地についても、野生動物の保護に関して厳しく決められているのだろう。 |
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次のポイントは、バーズ・ロック。100mほど沖に島があって、沢山の鳥が生息している。アザラシやアシカの生息地でもあるらしい。カメラを抱えていると、カモメが近くまで寄ってきたり、リスがうろうろしている。ここのリスは特に太っている。きっと観光客から食べ物をもらっているのだろう。手に餌を持っているふりをして手を出すと、のそのそと寄ってきて、しまいには、足によじ登ったり、靴の紐をかじり出す始末。ここまでくると、少々ゾッとするところもある。もちろん野生動物に餌を与えることは、動物自身が餌の取り方を忘れて、自滅する危険性があるので、禁止されている。 |
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スパイグラス・ヒルというゴルフ場を過ぎると、道は少々内陸に入り、狭くなって、アップダウンが多くなる。広々とした景色の海岸線のルートと違い、森の中を抜ける気持ちの良いルートだ。たまにポツポツと立派な別荘のような建物がある。 軽いアップダウンを繰り返していると、突然視界が開けて、ローン・サイプレスという17マイル・ドライブでは一番著名なポイントに着いた。ローン・サイプレスは、太平洋の荒波によって荒削りされた岩の上に、ぽつんと杉の一種が1本生えている。この景色は、17マイル・ドライブのシンボルと言うだけではなく、カリフォルニアの中でも著名な景色のようだ。 駐車場から少々降りたところに、もっと近寄ってみることの出来る展望台があり、観光客が入れ替わり立ち替わり訪れる。カメラを構えていると、ある観光客のおじさんが、シャッターを押してあげると言ってくれたので、お言葉に甘えることにする。 |
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| 著名なゴルフコースPebble Beach Golf Links |
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アップダウンが少々きつくなったなと思うと、いきなり車や人通りが多くなり、ゴルフ場のビジターセンターなどがある一角に来たらしいことがわかる。ひたすら自然の中を走っている17マイル・ドライブの中で、人工的な意味で、一番にぎやかなところだ。 このペブル・ビーチ・ゴルフ・リンクスというゴルフ場は、USオープンでも使われたことのある著名なゴルフコースらしい。私はゴルフには興味がないのだが、ゴルフをやる人なら一度は耳にしたことがあるレベルの知名度だそうだ。にぎやかな一角を早々に抜けて、先に進むと、道のすぐ脇にコースがあった。向こう側には海が見え、その向こうには半島が見える。ゴルフ好きにはたまらないコースなのかも知れない。 |
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カーメル・ゲートという看板が見えた。17マイル・ドライブを半分以上来たところだから、パシフィック・グローブ・ゲートからは20kmぐらいの地点だろう。17マイル・ドライブはここからは内陸を通るのだが、見所は少ないようだし、カーメルの街に行ってみたいので、予定通りこのゲートから出ることにする。 |
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| | Carmelはクリント・イーストウッドが市長を勤めたことでも有名だ |
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今までかなり高いところを走っていたようで、カーメル・ゲートを抜けて一気に海沿いの街、カーメルに下る。調子よく下ってゆくが、なかなかカーメルの街が現れない。突き当たりまで来て、地図とガイドで確認すると、素敵な街並みがあるというオーシャン通りはとうに通り過ぎてしまっていた。 同じ道を戻るのはつまらないので、突き当たりを左に降りて、海を背にずっと登り、オーシャン通りの街並みの東端あたりの高さまで来てから、左に折れて、コの字型にオーシャン通りの街並みに行くことにする。街はかなり高いところにあり、思ったより登りがきつく、少々息が荒くなった状態でやっと街に到着した。 走ってきたジュニピエロ通りとオーシャン通りとが交差するところには公園があって、芝生の上で昼食を食べている人がちらほらいる。私もまず昼食にしようと思い、交差点の近くに小さなスーパー・マーケットがあったので入ってみる。少々高めの感じもするが、巻き寿司のパックや、サンドイッチや飲み物を買い込み、公園のベンチで食べる。観光客も多いが、みなあくせくした観光ではなく、のんびり街を歩いているので、とても落ち着いた雰囲気の街だ。 昼食をさっさと済ませて、カーメルの街の散策を開始する。自転車は押してのんびり歩道を歩いてオーシャン通りの街を見てまわる。5ブロックほど下って、街が切れたので、反対側の歩道に渡り、北方向に戻る。歩道の脇には太い幹の木が生え、色とりどりの花が植えられ、童話に出てくるような家並みが続く。先ほどの公園の前のショッピング・センターもちらっと中を覗くが、ブランド品の扱う店ばかりなので、オーシャン通りより一本北側の通りを散策してから、街の外れに有る、カーメル・ミッションという教会へ向かう。 |
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カーメル・ミッションは先ほど遠回りしてオーシャン通りに戻ってきたときに、近くを通りかかった。その時に寄っても良かったのだが、いずれこの後、もっと南側にあるポイント・ロボスという州立公園に行く予定なので、後回しにしたのだ。 カーメル・ミッションの建物は、1771年に建てられた物で、建物が美しいミッション教会で有名なようだ。入場料を支払って中にはいるようで、車で来た観光客は迷わず中に入って行くが、私は先を急ぎたいので、鉄格子から建物を眺めるだけにする。教会の中は古く歴史があり、パイプオルガンもあるようで、時間があったらゆっくり見て回りたいが残念である。 |
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| 海岸線の美しいPoint Lobos State Reserve |
| | Point Lobos State Reserve入り口 |
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カーメル・ミッションを出て、州道1号線に入り、南下して、多少のアップダウンを20分ほど走ってポイント・ロボスの入り口に到着。自転車は入園無料。案内のパンフレットを購入する。この州立公園は、海に突き出た半島を中心にした海岸線を3kmほどのエリアで、森の木々を眺めたり、断崖から景色を眺めたり、鳥を観察したり、アザラシ等の海の動物を見たりできる。季節によっては、ホエール・ウオッチングもできるようだ。車の駐車場を起点に、いくつものトレイルが整備されていて、皆歩いて海の景色を楽しんでいる。 最初の駐車場に自転車を止めて、歩いて岬に出てみる。それほどすごい眺めと言うこともないが、のんびり景色を楽しむのは悪くない。一通り廻って、駐車場に戻ると、私の自転車を見て男性が声をかけてきた。折り畳み自転車が好きで、何車種か所有しているようで、私の帽子に書かれているバイク・フライデーというブランドの自転車も持っているとのこと。好き者はどこにでもいる物だ。 海沿いに南に車道が延びているので、突き当たりまで行ってみる。突き当たりの駐車場に自転車を止めて、少々歩くと、バード・アイランドという鳥が生息している島が見えた。もっと先に行けば、近くまで行けるようだが、そろそろ時間もないので、この辺で引き上げることにして、駐車場に戻り、自転車で来た道を戻って、ポイント・ロボス州立公園を出る。 |
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州道1号線に戻り、来た道をカーメル方面に戻る。カーメル・ミッションから出てきた道へは戻らず、そのまま州道1号線を直進する。この辺は森の中の登りで、主要道なので交通量も多く、快適とは言えない。カーメルからは峠を越えて、モンタレー側に降りるわけで、登りは覚悟していたが、思ったよりきついようだ。 峠を登り切ったところで、州道1号線は自動車専用道路に変わる。ここから、一昨日通ってきたずっと北のカストロビルまでの区間は、自動車専用になるわけだ。一瞬州道68号線に入り、州道1号線を越える手前で、サイクリング・ロードの入り口があった。ちょうど、レーサー・ジャージで身を固めた、ロード・レーサーの2人が出来たところで、挨拶をしてサイクリング・ロードに入る。サイクリング用の地図で勾配が示されているとおり、急な下りだ。とても逆コースをたどる気にはなれない。サイクリング・ロードを一気に下りきって、一般道に出てもまだ下りは続く。 |
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このまま州道1号線沿いに下ってゆくと、意に反して東に進んでしまうので、州道1号線を潜って、その北側に出る。出たところは、今朝、グレイハウンド・バスのチケットを買いに行く途中に横切った主要道だ。その道を一気にモンタレーのダウン・タウンまで下る。2kmほど走って下りきったところは、海沿いのサイクリング・ロード。例によってそのサイクリング・ロードを走って、YHに戻る。ここは何度も走っているので、慣れた物だ。 |
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モンタレーYHに戻ってきて、急いでシャワーを浴びる。洗濯物をまとめて、YHの近くのコイン・ランドリーに向かう。この後、バドとシェリーのピクニックに参加するのだが、約束した時間は7時なので、早く洗濯を終えないと間に合わない。洗濯が終わるのを待って乾燥機にかけて、一度YHに戻り、ヨセミテのYHに電話をして予約をする。明日は、サン・フランシスコに戻って泊まるので、明後日とその翌日を希望したが、明後日はベッドに空きが無いため1日遅らせて2泊の予約をした。それに合わせて、サン・フランシスコのダウンタウンにあるYHに電話し、翌日と明後日の宿泊を予約する。 バドの携帯電話に電話をして、30分ほど遅れることを伝え、またコイン・ランドリーに戻って、ほぼ乾燥が終わったので、取り出してYHに戻り、再び着替えて、ラバーズ・ポイントに急ぐ。 |
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| Lovers PointにてBudとCheriのMiller夫妻 |
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サイクリング・ロードに出てひたすら海岸線を走る。今朝通ったところなので慣れた物だ。日没はまだの時間だが、少々、空が曇ってきて、暗くなってきた。ラバーズ・ポイントに着くと、手前側のベンチに彼らはいて、私の参加を歓迎してくれた。シェリーが作ってくれた食べ物は私が来るまで手つかずで、遅れて申し訳ないことをした。ミラーご夫妻の他に、犬の散歩友達の女性と、車でサリナスから来たミラーご夫妻の息子夫婦と孫2人の家族が来ている。バドとシェリーは、孫の顔を見るのが楽しみで、このピクニックをやっているようだ。サンドイッチ等を食べながら今日のサイクリングの感想や、撮影したビデオや写真を見せる。この後、いろいろ見せたい物があるとのことで、またバドの家に行くことになり、息子さんのご家族を見送って、帰ろうとすると、小雨が降ってきた。 |
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バドが私の自転車のことを気に入っているので、チャネルさんのお店でもらったカタログを一部差し上げることにする。そのカタログはYHに置いてあるので、帰る途中に寄ってもらい、旅好きであるのにYHという物の存在は知らなかったというバドに、ここがYHだと教えてあげ、再び自転車に乗って、バドの家に向かう。 |
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バドの家ではコーヒー入れてくれ、米国中の国立公園の写真集などを見せてくれた。今日行った17マイル・ドライブにある景勝地ローン・サイプレスの写真もある。これから行く予定のヨセミテ国立公園の写真集も見せてくれる。2人は今までどんなところに行ったのか、どんなところに行くつもりなのか、米国の地図を囲んで話を聞く。 そろそろYHの門限の時間も近い。自転車を組み立てて走って行こうとしていると、YHまで自動車で送って行くと強く言うので甘えることにする。 |
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バドとシェリーに自動車で送ってもらい、YHの正面に門限5分前に到着。2人にここ数日のお礼を言うと、今度来たときには、我が家に泊まりに来いと念を押される。3日間このモンタレー周辺を見て回り、とても良いところなので、またいずれは再訪し、バドとシェリーと会いたいと思うようになってしまった。そのときはどんな自転車に乗ってこようかなどとも。 |