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すぐにでもヨセミテ国立公園に移動したかったが、宿の関係で、今日は一日空きが出来たような形だ。今日はゴールデン・ゲート・ブリッジを渡って、マリン・カウンティーに行ってみることにする。YHを出て、例によってマーケット通りに出て、北東に進み、突き当たりのフェリー・ターミナル・ビルから円を描くように湾岸を走る。 |
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湾岸のエンバーカデロ通りを車の流れに乗って快調に走ると、あっという間にピア39に到着した。ここは桟橋が観光地化されていて、レストランや土産屋、ちょっとした遊園地のような遊べるものが揃っている。自転車を押して板張りの桟橋を先端まで行くが、朝早いためか、途中のお店のほとんどはまだ開店していない。 桟橋の先端からは、アルカトラズ島が見える。写真など撮っていると、徐々に曇ってきて、風も冷たくなってきた。うるさく動物の鳴き声が聞こえると思ったら、桟橋のすぐ西側は、沢山の木の板が浮いていて、アシカがその上に寝ている。50匹以上はいると思うが、隙間無く寝ているためか、あちこちで喧嘩をしていてその鳴き声でうるさいのだ。ここは特に囲まれた空間ではないので、アシカたちは自然に集まっているのだろう。浮かしている板は観光客にアシカを見せるための物なのだろうか。もしかしたら、餌付けもしているのかも知れない。 来た通りに桟橋を戻ると、店は徐々に開き始めていた。船のデザインの外壁の店で、朝食代わりにドーナッツとコーヒーを買って、ベンチに座って食べる。 ピア39の近くに、貸し自転車屋があり、タンデム車が沢山並んでいる。事前に入手したマリンカウンティーへ行くサイクリングの地図はこの店が発行した物で、同じ物が周囲に貼られている。マリン・カウンティーからは船でサン・フランシスコに戻ってくるのがこの地図の標準ルートだが、戻ってくる船が到着する桟橋はすぐ隣のピア41なので、ここに店構えているようだ。船の到着時刻を知りたいと思い、店の人に尋ねるとすぐに時刻表をくれた。ちゃんと対象の便がマーキングされていた。 |
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ピア41を過ぎるとすぐ隣は、有名なフィッシャーマンズ・ワーフだ。シンボルのカニの看板が出ていて、観光客も多い。フィッシャーマンズ・ワーフと言えば、数日前にモンタレーのオールド・フィシャーマンズ・ワーフに行ったが、サン・フランシスコのはにぎやかで雑然とした感じだ。日本で言えば屋台のような雰囲気のスタンドが並んで、カニなどをその場で食べさせてくれるのが名物なので、私もスタンドに座って、くりぬいたパンに入れたクラムチャウダーと、カニのカクテルを頼む。パンが酸味があるタイプだからか、味はモンタレーで食べたものの方が美味しかった。 自転車を半分畳んで、座席の脇に置いていたので、通りかかった人がへんてこな自転車の状態を見て声をかけてくる。隣に座っていたお兄さんも、自転車乗りで、今日は日曜日だから走りにでも来たのだろうか。今日走りに行くコースの話をして天候が心配だというと、すぐに変わるだろうとのこと。 |
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フィッシャーマンズ・ワーフを出て、すぐ隣のアクアティック・パークというエリアに到着。ギラデリ・スクエアというショッピング・エリアに寄って、H氏から寄ってきてくれと言われた民族楽器の店を探す。ここはギラデリというチョコレート会社の工場の跡地をショッピング・エリアにしたようで、いくつかの建物にはオフィスも入っているようだ。真ん中にある小さな広場では、音楽隊の演奏が行われている。ふと見ると、訪問する予定の自転車ブランド、リベンデールの軽快車が止まっている。見ているとオーナーが現れたので、少々話をした。リベンデールに行って注文して作った自転車だそうで、このたびの最後で訪問するというと、グラントによろしく言ってくれとのこと。 結局、民族楽器店は見つからず、インフォメーションで尋ねると、数ブロック先にあるキャナリーというショッピング・エリアにあるとのことだ。早速行ってみると、先ほど建物の海側の脇を場所だ。こちらも、カンズメ工場の跡地をショッピング・エリアにした区画で、入ってすぐの所に民族楽器店ラーク・イン・ザ・モーニングがあった。アイルランドの民族音楽の題名を店名にしたらしく、世界中の民族楽器が揃っている中、特にアイリッシュ系の楽器が多く見ていて飽きなかった。Hさんに頼まれたカタログ2種類とちょっとした土産を買って行く。 |
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アクアティック・パークと隣のフォート・メイソンの間に、弓なりに海に突きだした桟橋、ミュニシパル・ピア(市営桟橋)に寄ってみる。とても風が強い中、突端まで行ってみる。アルカトラズ島に一番近い陸地のようで、先ほどピア39から見たよりも大きく見える。 |
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ミュニシパル・ピアを出て海沿いに行くと、小高い丘になったフォート・メイソンのエリアに入り少々登りになる。登り切ったあたりで、YHの看板が目に入ったので寄ってみることにする。サン・フランシスコ・フィッシャーマンズ・ワーフYHだ。ヨセミテ国立公園から戻ってきたら、このYHを利用してみたいので、ベッドの空きを確認すると、3泊の内最初の1泊のみ宿泊可能だ。やはり観光地に近いので、噂通り人気のあるYHだ。仕方ないので1泊だけ予約してYHを出る。 |
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| The Presidio近くの海岸ではヨットレースが行われいていた |
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フォート・メイソンを出て、平坦な海沿いの道を西に向かう。ゴールデン・ゲート・ブリッジがだんだん大きく見えてくる。この辺はヨットの停泊地、マリーナで、今日は日曜日だからか、多くのヨットが出てレースが行われているようだ。 前方に朱色の建物のドーム状の屋根が見えてくる。プレシディオと呼ばれる公園の入り口にある、パレス・オブ・ファイン・アーツと呼ばれる古い建物だ。テレビ・コマーシャルなどで何度かみかけたことのある建物で、ファイン・アートと言われるとおり、とても彫刻などが美しい建物で、間近で見て思っていたより巨大なので少々驚く。なにやら、昔博覧会で建てられたトルコのモスク風の建物を再建したものだそうだ。 |
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| Fort Pointから仰ぎ見るGolden Gate Bridge |
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ひたすらゴールデン・ゲート・ブリッジを目指して、海沿いのルートを走る。ここは造成された公園としては世界最大規模と言うプレシディオの中に位置する。ゴールデン・ゲート・ブリッジもその公園から対岸に渡って架けられている橋である。 ゴールデン・ゲート・ブリッジがどんどん近くなってきた。相変わらずの曇り空で、橋の一番高いところは雲でかすんでいる。ついには橋の下のフォート・ポイントに到着した。この付近も公園のようになっていて、日曜日と言うこともあってか、家族や仲間とバーベキューをやりに来ているグループを見かける。海岸で石を積み上げている人がいる。石を、わざと角を立てて何段にも積み重ねていて、風が吹くと崩れてしまうような危うさだ。サン・フランシスコのビル群を背景に、写真を撮っている。この人、日本人だろうか、東洋系の人で、過去撮った写真を並べて売ってもいる。屋外アートという物なのだろう。 |
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| | 休日は自転車は西側の通行のみのGolden Gate Bridge |
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フォート・ポイントは海岸沿いだが、ゴールデン・ゲート・ブリッジの南端は、かなり高いところにある。橋を渡るのだから当然そこまで登らなければならない。フォート・ポイントから折り返すように、来た道を少々戻り、分かれ道を右に入って登りが始まった。看板に従って進み、思ったより大したことはなく登り切ると、駐車場と展望台があり、車等で来た観光客で賑わっている。写真など撮影して、さて橋を渡るべく、自転車が走るべき歩道に入ろうとすると、日曜日や休日は、こちら側の歩道は自転車は通行禁止で、反対側のみの通行可という看板が出ていた。観光客が多いので、比較的歩行者の少ない反対側のみになっているのだろう。 看板の指示に従い、来た道を数十メートル戻り、橋を潜って反対側の歩道に出る。こちらは歩行者は皆無で、走りやすい。たまにサイクリストが通り過ぎるだけだ。だんだん進むにつれ、風が強くなってきた。ゴールデン・ゲート・ブリッジは、戦艦や、巨大な客船が潜ることが出来るように設計されているので、かなりの上空になるわけで、風もかなりの速度で通り抜ける。大きく空に突きだしている2本の巨大な支柱の所を通るときは、風が舞っていてハンドルを取られそうになった。 |
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ゴールデン・ゲート・ブリッジの北端に到着。反対側車線には南端と同様、駐車場や展望台,売店があるようで、観光客で賑わっているが、こちらには駐車場に使える広場があるだけだ。サイクリストの中には、ここまで自転車を積んできて、ここに自動車を止めて走っている人も多いようで、レーサー・タイプやマウンテン・バイクの自転車を入れたり出したりしている光景が見える。 さて、ここからマリン・カウンティーの街、サウサリートに向かうのにはどうした物かと少々悩む。反対車線の展望台からは道が出ている様だが、低い壁や交通量の多い、この道を渡るわけには行かない。何人かサイクリストが車道と平行の道を走って行くので、行ってみると道は車道をくぐって反対側に出るようになっていて、すぐに反対車線の展望台から出てきた道と合流した。 |
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| Goled Gate Bridgeを渡ると一転して晴れているSausalitoの町 |
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ゴールデン・ゲート・ブリッジの北端から、湾岸の街、サウサリートへはひたすら下りだ。どんどん下っていると、天候が良くなってきて、太陽が見えるようになってきた。相変わらず、ゴールデン・ゲート・ブリッジや、太平洋側は相変わらず天候が悪いようで、山一つ隔てた湾岸の北側は天候が違うようだ。 リゾート地のように海沿いの斜面に高級住宅が建ち並び、とても静かな街だと思いながら走っていると、賑やかな一角に到着。ここにはサン・フランシスコと結ぶ船着き場があり、観光客が多い。アイスクリームを食べている人を見かけて、食べたくなりお店を見つけて買って食べる。高いけど美味しかった。 さて、そろそろ帰りの船のことが心配だ。ティブロンから出る船は5時50分があるが、あと1時間ちょっとしか時間がないので、間に合うだろうか心配になる。ここからティブロンまで距離はさほどでもないが、標高差などがあるとちょっときつい。次の2時間後の船にするなら、かなり時間があるのでのんびりペースになる。時間に追われてサイクリングが楽しめないのは、ばからしいので、時間にはとらわれないようにと思いながら、結局、5時50分に間に合うように走ることにする。 |
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| Tiburonから船に乗ってSan Franciscoに戻る |
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サウサリートを出て、少し行ったあたりからサイクリング・ロードがとぎれるが、地図上ではずっとサイクリング・ロードが繋がっている記述なのでちょっと迷う。裏道から交通量の多い車道に出ると、道幅も広くなりバイク・レーンがあるので、先に進む。街の郊外に出て、再びサイクリング・ロードになり、湿地帯の中を抜ける。車道は湿地帯を迂回するように遠くに離れていて、とても静かな一帯だ。 サイクリング・ロードから見える駐車中の自動車に、垂れ幕が掲げられていた。良く見ると、自転車や部品などの交換会を今度の土曜日にやるという案内だ。この沿道には自転車店もあり、走っている人も多く、マリン・カウンティーも自転車熱の高いベイ・エリアの例外ではないなと感じる。是非見てみたいが、土曜日は旅の終わる前日で、予定が詰まっているのでそんな時間はないだろう。 サウサリート・キャナルと呼ばれる入り江が陸地に一番切れ込んだところを過ぎて少々行くと、いきなり交通量の多い車道に出る。この先、サイクリング・ロードはこの道を越えて繋がっているようだが、地図によるとこの道に入って右に行くようだ。路肩が広いので、走りにくいと言うこともないが、今までのサイクリング・ロードが快適だっただけに、ギャップが大きい。ゴールデン・ゲート・ブリッジから繋がる自動車専用道を越えて、道なりに行くと、やっと海側の住宅地を抜ける裏道に出たここからはまた静かな道だ。公園のような所に出ると、その道は行き止まりになり、サイクリング・ロードになる。リチャードソン湾が見えて、とても良い気分で湾岸を走ることが出来る道だ。 ティブロンの手前まで来て、サイクリング・ロードは狭くなり、車道の脇を細々と通るようになる。やがて、車道と合流したと思ったら、ティブロンの街があり、フェリー・ターミナルがあった。なんとか、5時50分の船に間に合うようだ。ティブロンの街は、お洒落なお店など有り、サウサリートより小さい感じだが、とても雰囲気の良い街だ。それにしても、自転車で走っている人が多くてびっくりだ。日曜日だからだろうか、いくつものグループがあり、もうずいぶん前に着いたのか、芝生で休憩していたり、カップルで走っている人、若者のグループなど有り、自前の自転車に乗っている人もいれば、あきらかに観光客がレンタサイクルでと言うパターンもある。 |
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時間が来て、船に向かうと、かなりの数のサイクリスト列をなして乗船を待っていてびっくりする。特別事前にチケットを買っているようではないので、私もその列に加わり乗船する。乗船したところでチケットを売っているので購入する。自転車は乗り込んだフロアーの中央に並べてゆくが、見る見るうちにすごい数になってびっくりする。きっと100台はあるだろう。 船が出航したので、デッキに上がって、写真など撮影する。船からはゴールデン・ゲート・ブリッジがよく見えるが、相変わらず橋の上空は雲が覆っている。こちらは良い天気なので不思議だ。エンジェル島をかすて、アルカトラズ島の間近を通り、サン・フランシスコに近づくとやはり曇り空。ピア41に到着して、100台ほどの自転車が船から完全に出てくるまでにはかなり時間がかかった。 ピア41から出ると、正面で人だかりがしている。なにやら、ストリート・パフォーマンスをしているようだ。最初は2重程度の輪だったのが、どんどん人が集まってきた。覗いて見ると、巧みな話術で客を笑わせて、あれこれ客を参加させて準備をして、結局最後には張られた綱の上で、火の点いたトーチをジャグリングするという物。このぐらいは珍しくないが、巧みな話術で人を集めるのがすごい。一通り終わると、次のパフォーマーが現れ準備をしている。交代でこの場所を使っているようだ。 その後、観光客相手のカメラ店を覗く。もしかしたら、カムコーダーのバッテリーが安く売っているかも知れないからだ。カムコーダーを見せると、面白い物があると言い、店の奥に連れてゆかれ、ワイド・コンバーターを見せられた。この手の物はかさばるので購入を考えたこともなかったが、実際に装着して試すと、とても明るく、レンズを分割することでマクロ・レンズにもなる。魅力的だが値段が高いので、いらないと言うと、ラテン系の店員は、調子よく、どんどん値段が下がってくる。結局、フィルターや、バッテリーや、Kさんに購入を依頼された充電器や、一眼レフ・カメラにも装着できるアダプターもを含めて、最初よりずいぶん安い値段を提示してきたので、買うことにした。明日からヨセミテ国立公園に行くこともあり、レンズのバリエーションを増やすのも悪くないだろう。まあ、成り行きからしてもっと安く出来そうだが。(後日、帰宅して調べたら、一番安い店より倍近い値段だったのでちょっとショック。)Kさんに頼まれた物は、荷物になるので、お店に預かってもらう。 |
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今日の夕食は、しっかりした中華でも食べようと思い、チャイナ・タウンに向かう。しかし、自転車を押して、中華レストラン街を歩いている内に、廻転寿司の店を発見。思わず寄ってしまう。 廻転寿司と言っても、良くある物と違い、水の上を寿司の皿を乗せた船が廻っているという物。まあ、良くある物を豪華に見せかけただけで、運搬効率も悪いのだが、実際は寿司があまり廻っていないこともあって、紙に書いてオーダーすることになる。しかし、やはりこの船が流れる方式は、異国の人には珍しいらしく、モーター・バイクで旅している白人カップルが隣に座って、手で船の進行を妨げたりして、子供のようないたずらをしていたり、道を行き交う人がウインドウ越しにずっとこちらを見ていたりする。 |
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たらふく食べて、YHに戻る途中、チャイナ・タウンの入り口ドラゴン・ゲートで、購入したレンズを早速試してみる。確かにワイドだ。景色などが被写体のことが多いので、一眼レフには28mmという、やや広角のレンズを装着していることもあり、ビデオカメラの視界の狭さを感じていたところだ。明るさに関しては、あまり違いは解らない。 YHに戻って、明日は早い出発なので、今の内、荷物を出来るだけ整えておく。 |