|
昨日の長距離移動の疲れがは完全に取れてはいない。今日はのんびりモンタレーの町中を観光することにする。 YHを出て、近くの売店でミネラルウォーターを買う。サイクリング・ロードをたどって、昨日来るときに通ってきた道を戻る。キャナリー・ロウを過ぎて、少々行くと、モンタレー湾に出るが、ここは野生動物の宝庫で、アシカなどが、すぐ目の前の岩の上で昼寝をしているのが見える。昨日通ったときは、疲れていたこともあってか気が付かなかったが、これだけの規模の町で、観光客も多いのに、これだけ近くに野生のアシカなどが見えるのはすごいことだと思う。 |
|
観光ポイントを訪問する前にまずツーリスト・インフォメーションに行ってみる。それらしい物はモンタレーには2カ所有るようだが、一つは、海沿いのサイクリング・ロードのすぐ脇にあるモンタレー・ステイト・ヒストリック・パークの一角にあるようだ。行ってみると、海洋博物館の1階がツーリスト・インフォメーションになっていて、カウンターに資料が沢山並べられている。モンタレーの地図や、周辺のガイドを入手する。 |
|
| MontereyのOld Fisherman's Wharfの入り口 |
|
|
海洋博物館の建物のすぐ近くにあるオールド・フィッシャーマンズ・ワーフに行く。海に突き出た桟橋の脇に、シーフード料理の店や、土産屋が並ぶ観光地だ。自転車は特に禁止されていないようだが、歩行者が多いので、自転車を押して見て回る。 桟橋の突き当たりにあるレストランの建物の上は、ちょっとした展望台のようになっていて、建物をぐるっと囲むようにデッキがあり、モンタレーの港が見渡せるようになっていて、沢山の観光客が来ている。沢山のヨットが停泊していたり、アシカなどの野生動物が沢山見え、遠くには昨日走り出したサンタ・クルズのあたりも見える。 シーフードを扱うお店の店頭では、名物のクラムチャウダーを、カップやパンの中をくりぬいてそこに注いで売っていて、観光客に試食を勧めている。朝食がてらに、買って食べてみる。お腹が空いているからかもしれないが、とても美味しい。 |
|
オールド・フィッシャーマンズ・ワーフから少々東に向かうと、コマーシャル・ワーフという市営の桟橋がある。こちらは観光地ではなく、ひたすら漁業で使われている桟橋だが、観光客や釣りをしている人がいるので、寄ってみる。 桟橋の突端に行くと、シーライオンが桟橋の数メートルのところに群れていて、観光客相手に愛想を振りまいているのがよく見える。そのシーライオンなどの野生動物を見るためのツアーなのか、シーカヤックの集団がすぐ側を通り過ぎた。このモンタレーでは海で野生動物の近くに寄ることは、厳しく禁止されているとのことだが、こんなに人なつっこい動物では、相手から寄ってこられてしまうのではないかと、余計な心配をする。 |
|
町の東側の公園の脇にあるビジター・センターに寄ってみる。こちらは先ほどのインフォメーションと違い、観光客に対して宿の紹介などをしているカウンターもある。資料も豊富で、部屋一面にパンフレットなどが置いてあるが、ホテルやリゾートの案内が多く、あまり興味を引く物はなかった。 先ほどのインフォメーションでもらった資料の中に、モンタレーの町の歴史的な建造物を巡るパス・オブ・ヒストリーというコースの案内があった。このルートをたどれば、モンタレーの町の大枠はつかめるだろうと、自転車で回ってみることにする。最初は、古い教会から始まって、アドービ(日干し)・レンガの美しい建物や、旧役所の建物や、役人が住んでいた家、博物館などをたどってゆく。基本的に当時のまま残っている建物が史跡に指定されていて、建物の前には看板が立てられていて、説明文が書かれている。地図に載っているルートは、基本的に歩く人用のルートで、自転車だと一方通行の関係もあり、数ブロック遠回りしても大した距離ではないので、地図にはこだわらずに、ほとんどの建物を見て回った。 |
|
| 日本食レストランの店内には「ヤマサ」「櫻正宗」の看板 |
| | $7で天麩羅,刺身,巻き寿司,枝豆が舟盛りのお得なランチ |
|
|
パス・オブ・ヒストリー巡りは昔の図書館の建物を見たところで区切りをつけて、一気に坂を下って、今朝寄ったモンタレー・ステイト・ヒストリック・パークに戻る。ふと、赤い提灯が目に入る。ベニハナという日本食のレストランだ。2時までのランチタイムの看板が出ていて、入ろうか、どうしようか迷っていると、自家用車で来た族連れが、さっそうと店に入ってゆく。それに釣られるように私も急いで自転車を畳んで店に入る。 ランチは$7で、テリヤキの鶏肉と天麩羅,刺身,巻き寿司,枝豆,デザートのオレンジが舟の形のお膳にのせられていてとても豪華だ。ご飯とサラダも別に付いている。灰皿のような入れ物に、大根下ろしが前もって溶かされた天つゆは、最初なんだかよくわからなかったが、とにかく得した気分。店内の様子は日本食の店とは言い難いレストラン仕様だが、壁には「ヤマサ」や「櫻正宗」等の日本の昔の看板が掲げられていて、ちょっとだけ郷愁を誘う。「ごちそうさま」と丁寧に言って、店を出る。 |
|
| | 以前缶詰工場のあったCannery Rowの街並み |
|
| Cannery RowのSteinbeck Plaza |
| | Montereyで暮らした作家John Steinbeck(1902-1968)の胸像 |
| |
|
昨日は通り過ぎただけの、キャナリー・ロウを見学する。後で聞いた話だが、日本人移民者がここの缶詰工場を作るのにずいぶん貢献したとのことだ。現在、缶詰工場の跡は、お洒落なショッピング・モールなどになっていて、観光客で賑わっている。中でも、スタインベック・プラザ付近は、キャナリー・ロウの中心的な存在だ。作家ジョン・スタインベックは、モンタレーに近いサリナスで生まれ、モンタレーで暮らし、作品を多く残した。特に、小説「缶詰横町」はキャナリー・ロウが舞台で、それを由来としてこの地にスタインベック・プラザなる物があるようだ。私はこのスタインベックについては、名前を聞いたことがある程度で、小説は読んだことはない。しかし、これを機会に読んでみたくなった。キャナリー・ロウの看板を写真に納めようと思ってカメラを構えていたら、観光客の一人がシャッターを押してあげると申し出てくるので、言葉に甘えて、一枚撮影してもらう。 スタインベックの小説に登場するという古いカフェの前で写真を撮る。これで一通り、モンタレーの町中の主な観光地は見学したことになる。しかし、まだ時間があるので、キャナリー・ロウの突き当たりにある、モンタレー・ベイ水族館を見学することにする。この水族館は、世界的に著名らしく、私も以前、仕事で、日本の水族館の関係の仕事をしたことがあるが、その時にもこのモンタレー・ベイ水族館の名前は耳にした。時間があるならここを見ない手はない。 |
|
| 廃線跡に作られたサイクリングロード上にある列車は観光案内所になっている |
| |
| 水の中だけではなく海辺の砂浜の様子まで再現している |
|
|
モンタレー・ベイ水族館の外にある自転車置き場に自転車を駐輪し、入り口で、チケットを買おうとすると、明日も見学に来るかと問いかけてくる。料金は同じだというので、明日のチケットも受け取る。この時間からの見学だと、閉館の6時までに全ての展示を見るのには時間が少ないので、明日も見に来れるようにという配慮だろう。それだけ、内容が濃いと言うことだと期待して、見学を開始する。 日本語の音声ガイド機器を借りるためのチケットも買ったので、受付でチケットと引き替える。この音声ガイドはテープなどは使わず、展示の番号に合わせて番号を入れると、説明を聞くことが出来るので、見学順は自由だ。その説明も、展示内容の一般的な説明,子供向けの説明,ちょっと踏み込んだ展示方法に関する説明と充実した内容だ。耳に当てて使うスピーカーとは別にイヤホン・ジャックも付いているので、たまたま持っていた音楽プレイヤー用のステレオ・イヤホンを刺して使う。 展示内容はどれも素晴らしい内容で、どの展示も時間を忘れて見入ってしまう。特に驚いたのは、水族館なのに鳥類の展示コーナーがあることだ。建物の中に水辺の様子を再現していて、そこに暮らす水鳥が何種類も展示されている。鳥はもちろん生きているので、飛んで出ようと思えば、少なくとも部屋の中を飛び交うことは可能だが、そんなことはなく、再現された水辺で、比較的おとなしくしている。また、建物はモンタレー・ベイそのものに面していて、ドアの外のデッキからは、本物の浅瀬の様子を見ることができる仕組みにもなっている。 あっという間に時間が過ぎ、もう少しで、閉館時間の6時だ。駆け足で、別のブロックにあるアウタ・ベイと呼ばれるモンタレー湾の外側の様子を展示したエリアに向かう。巨大な水槽があり、その大きさに圧倒される。閉館の案内が流れ、音声ガイドの機器を返却して外に出る。 |
|
| リカンベントが展示されているMontereyの自転車店 |
|
|
缶詰工場の跡に入っているスターバックス・カフェでコーヒーを飲み一服する。今後の予定をじっくり考え、ここからは予定通り公共交通機関で移動することにするが、サンフランシスコに戻るか、ヨセミテ国立公園に移動するための情報を得るべく、昼間見かけたバス・ターミナルに行ってみることにする。町の中心部にあるバスターミナルに着いて、あれこれ路線図などを確認するが、近隣の町を結んでいる物しか無いようで、情報収集は諦める。 |
|
インターネットで電子メールのチェックをしようと思い、午前中サイクリング・ロードの途中で見かけたインターネットと書かれたレストランに向かうが、行ってみると、どう見ても営業しているようには見えない。諦めてYH方面に戻るために、サイクリング・ロードを走っていると、小柄で髭をたくわえた男性がローラー・スケートで走っている。この人、確か先ほども見かけた人だなと思いながら、近寄ってゆくと、その男性はこちらを見て、話しかけてくる。私の自転車にしきりに興味を示すので、折り畳みを実演してみせる。旅の話などしていると、その人はモンタレーに住む地元の人でバド・ミラーさんと言い、ビールのバドワイザーと、ミラーだから、覚えやすいだろうと言う。自分も旅好きなので旅行者をつかまえてはよく話をするようだ。奥さんがもうちょっと先にいるので、一緒に話をしようというので、走っている方向でもあるので、彼に付いてゆくと、奥さんのシェリーさんが、犬の散歩途中の友達と話をしていた。メールをチェックしたいので、インターネットが出来る場所はないかと尋ねると、先ほど閉まっていた店ぐらいしか知らないようで諦める。自宅の場所を私に教え、明日朝にでも遊びに来ないかという。それから夕方にはラバーズ・ポイントというところで、ピクニックをするというので、それにも誘われた。明日は、モンタレー半島をぐるっと回る17マイル・ドライブを走り、カーメルの町を見学しに行くので、時間があったら寄りたいと伝えて別れる。 |
|
YHに戻る途中、日本食のレストランにて夕食を取ることにする。昼も日本食だったが、何度でも日本食が食べたい。まあ、日本にいるときは三食とも日本食なのは普通のことなので、別に構わないだろう。いくつか有る日本食のレストランの内、少々地味で入りやすい、サクラという店に決めて、自転車を畳んで、店に入る。 カウンターに座ると、隣の夫婦が気軽に話しかけてきたので、旅の途中であることなど、あれこれ話をする。こちらに来て食べていないすき焼きを注文して、ビールを飲みながら話をすると、その夫婦は、モンタレーの隣のパシフィック・グローブに住んでいて、この店の常連らしく、日本人の板前さんと気軽に話をしている。クラゲの食べ物をさっき食べたがとても美味しかったので、おまえも食べろと言う。出てきた物は、グラゲの和え物で、とても懐かしい味だ。 少々、変わったスタイルのすき焼きを食べ、満腹になったお腹を抱えて、会計をすると、先ほどのクラゲの和え物は店からのサービスで良いという。「ごちそうさま」とお礼を言って店を出る。 |
|
今日も昨日に続いて、YHの門限ギリギリに戻ってきた。正確には11時が門限だが、10時に入り口が閉まってしまうので、それ以降は、呼び鈴を押して開けてもらうのだ。それは面倒なので、10時までには戻る事にしている。受付で、明日の晩も泊まりたいことを告げて、宿泊費を払って部屋に戻る。例によって、時間制限のシャワーを浴びて寝る。 |