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眠い目をこすり、YHを歩いて出発。いつもは自前の交通機関の自転車なので、時間に急かされることなく出発するわけだが、今日はバスツアーなので、時間厳守である。 |
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50%の乗車率に満たないミルフォード・サウンドツアーの大型観光バスは、バスターミナルを出て、ワカティプ湖沿いに南に向かう。何人かの日本人学生も一緒である。 |
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バスは休憩を兼ねてテ・アナウの町外れに停まった。ここはミルフォードサウンド観光の拠点で、世界一美しいトレッキングルートとして有名なミルフォードトラックのスタート地点でもある。 他の会社の運営するミルフォードサウンドのバスツアーも同じようにこのテ・アナウで休憩しているらしく、湖岸をうろうろしていると、別の日本人学生が何人かいた。彼らと写真を撮りあったりして、出発の時間を待つ。 バスは細長いテ・アナウ湖岸の道路を北上する。周囲にはだんだん森が現れてきた。今までずっと大きな木が少ない乾燥した景色ばかりだったが、ここまで南にくると気候が変わるためか、日本の山林地帯と同じような景色になってきた。 だんだん路面の状況は悪くなり、くねくね折れ曲がりながら川沿いに登って行く。こうなってくるとますます日本の景色と似ている。なにやらアナウンスがあり、バスが停車。ぞろぞろ人が降りて行くので付いて行くと森の中に木で作られた遊歩道があり、散策ができるようになっている。 途中小さな池があり、遊歩道からよく見えるポイントに「Mirror Lake」と書かれた札が立っている。よく見るとその札の文字は裏返しに書いてあり、静かな湖面に映った札を見るとちゃんとした文字に見れるという仕組みだ。一帯を囲むようにそびえ立つ山々も静かな湖面に逆さまに映って見えるいうのが、この観光ポイントの目玉のようだ。 |
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話しに聞いていたとおり、バスはますます険しい未舗装の道を登って標高を稼ぐ。南島の南北を分ける分水嶺のトンネルの手前でバスは止まり、しばしの休憩。このポイントからの景色がまたすばらしい。もう2日ほど日程に余裕があれば是非自転車で走ってみたいルートだ。同じことを言っていたサイクリストと旅の途中で出会ったことを思い出した。 バスは再び走り出し、バス1台がやっと通れるほどのトンネルをクリアー。タスマン海(ニュージーランドとオーストラリア大陸とに挟まれた海)側へはかなりの急角度で下ってゆき、程なくミルフォードサウンドの入り江に到着した。 ここで、観光船に乗り換えてミルフォードサウンドの観光である。ミルフォードサウンドは氷河に削られてできたフィヨルドで、マイターピークをはじめとする標高2000m級の山々が入り江の周りを囲んでいる。 マウントクックと並び、この観光地も天候次第らしいが、またまた少しかすんでいる程度でマイターピークの雄志を拝むことができた。観光船レッドボートが岸壁に近づくと遥か上の方に山の頂が見える。海面はもちろん標高0mであるから、いきなり2000mの壁がそこにあるわけで、上の方がかすんで見えなくてもしかたないわけだ。 |
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観光船は暗く蒼い色をしたフィヨルドを外洋に向かって悠々と航行し、少し外洋に出たぐらいのところでUターンして戻り始めた。あざらしか何かの動物が観光船の観客に見えるようについてくるのが見える。 観光船を降り、再びバスに戻る。バスはミルフォードサウンドを後にし、再び険しい山を越えるために走り出した。 |
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テ・アナウの休憩場所で、昨晩ミルフォードサウンドに泊まったと言う日本人学生と出会った。彼らの話しだと、今日の午前中は天候が悪く、マイターピークは一切見ることができなかったとのこと。われわれの到着した午後は、とてもいい天気だったので、数時間の違いですぐに天候が変わるのがわかる。あれだけ切り立った高山であるので、大気の流れが変わるだけで天候がすぐに変わるのもうなずけると言う物だ。 バスがテ・アナウを出ると眠くなってきた。クイーンズタウンの手前のワカティプ湖岸の道を走る頃になると太陽はずいぶん傾き、オレンジ色の光が湖面に反射している。 |
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ちょうど日没の頃、ツアーバスはクイーンズタウンに戻ってきた。 |
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久しぶりに長時間バスに揺られ疲れた。徒歩で、YHに戻る。 明日はいよいよ帰国のためにオークランドに戻る。明日は朝早い出発なので、今のうちに自転車をパックしておく。捨ててある雑誌や古新聞などをフレームの突起部分などに巻き、機内での手荒な扱いに備える。往路は発泡スチロールの緩衝材などを沢山使ってきたが、サイクリングには邪魔なので、自転車を組み立てたクライストチャーチの空港に捨ててきた。 |