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タイヤに空気をめいっぱい入れて出発。S君は、私と同じ方向に行くのだが、スケジュールに余裕がないと言うことでマウントクックには寄らないそうだ。たしかにマウントクックに寄るだけで最低2日はかかるだろう。 S君に別れを告げ、昼飯などの食料品を買い込むためマーケットに立ち寄る。 10時頃マーケットを出て走り始めると、YHで同泊だった白人の若者らが乗ったライトバンに抜かれた。後ろの席に乗った男の子が私に向かってしきりに手を振るので、こっちも思いっきり手を振り返す。 |
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数キロ走ると、YHで同泊だったカナダ人サイクリストの言った通り、水が満々流れる運河があり、運河沿いにフラットな道が続いている。彼を信じて運河沿いの道に入る。看板の地図によるとこの運河の水は最終的にはプカキ湖に流れ込み、その際に水力発電をしているようだ。 |
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| 小さい頃からの憧れだったMt.Cookへ向かうPukaki湖沿いの道 |
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下の方にプカキ湖が見えてきた。今まで数センチ程の誤差もなくまっ平だった道が水路と分かれて下っている。ちょっとドキッとしたが、ちゃんと道が続いていて、プカキ湖岸にすぐ降りることができ、湖岸を少し走るとすぐに国道に出た。。 プカキ湖の水門を越えて少し行くと、道はプカキ湖の左側をマウントクックに向かって走る道への分岐があり、右に折れるといずれマウントクックの村で行き止まりとなる道だ。中学生の頃読んだサイクリングの入門書に載っていた白黒の写真を見て以来、頭の中から忘れることの無かった景色だが、ついに実際に現れたのだ。もっとも、その写真の湖岸道路は今と違い未舗装であったが。 1時過ぎになって、タイヤの回転にムラがあるのを感じ、前輪を見ると一部が異様に膨らんでいる。YHを出る際にめいっぱい高くした空気圧のおかげで、リムからタイヤの片側の一部が外れかかっている。一度空気を抜いて、タイヤのセンターを気にしながら空気を再入したらタイヤはちゃんとリムに納まった。このまま気が付かなかったらチューブがはみ出して破裂していたかもしれない。 |
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ガードレールに腰掛け、プカキ湖を見ながらマーケットで買ったバナナ等を食べる。たまに通りかかる車の中の人と目が合うとみな一様ににっこりしてくれる。 白く雪をかぶったマウントクックが見えてきた。道はプカキ湖に注ぐ沢を何度か跨ぎ、橋を架けられないのか大きめの沢の場合は沢沿いに大きく登り、流れが細くなったところで、小さな橋で沢を跨ぐ。 沢を跨ぎ、下りになったところにアベックのサイクリストが止まってマウントクックを眺めていた。挨拶をすると、「You are lucky boy」とのこと。彼らはマウントクックの村に1週間もいて、マウントクックの山をしっかり見れたのは村を離れる今日だけだそうだ。今日は晴れているが、1年を通じて1/3しか晴れないと言うマウントクックの噂は本当らしい。晴れ男をますます自負する。 |
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プカキ湖からすでに離れ、注ぐ川も細くなり、広い谷に入ったようで道の周囲が開けてきた。ここからマウントクック国立公園だという看板をすぎ、谷間を奥に入って行くとマウントクックの村の集落があり、入り口に近いところにマウントクックYHはあった。 |
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世界中のバックパッカーが集まるというマウントクックYH。人気があって、いつも満員との噂である。泊まれなかったらどうしようと思っていたら、すんなりと泊まることができた。ここ数日間の悪天候のため、クライストチャーチからのルート上にある橋が落ち、長距離バスが動けないため、すいているとのことだ。 自転車から荷物を下ろし、自分のベッドを確保したので、5時過ぎに歩いて食料品店に向かう。YHから5分とかからない場所にあるその食料品店は、小さいながら自炊するには不自由無い品揃えである。 |