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朝起きてキャビンの外に出て洗面所に行こうとすると、水鳥の親子が団体でトコトコ付いてくる。ここにくる人にいつも餌をもらっているのだろうが、私は残念ながら持っていない。 管理人室に寝袋を返却し、キャンプ場を後にする。オマラマは天文台のある町で、ハレー彗星の観察もできるらしく、近所のお店に寄るとハレー彗星を記念したグッズが色々売っている。私は荷物にならないバッジやすぐに使えるTシャツを購入することにする。トラベラーズチェックで支払おうとすると、使えないらしく、お店のおばちゃんは申し訳なさそうにしている。そばにいた観光客と思えるおじさんが、私のことを気使ってくれてそばの郵便局でチェックを現金にできることを確認しに行ってくれた。親切にしていただいたお礼をすると、おまえはニューカレドニアから来たのか?と私に尋ねる。自転車にフランス製の部品を多用しているで、フランス領のニューカレドニアの人かと思ったらしい。これからリンデス峠を登ると言うと、峠まで送ってあげるというので、自分の足で登りますと、丁寧に断った。 |
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昨夜泊まったキャンプ場の脇を通って10分ほど走ったところで、キャビンの鍵を返却していないことに気が付いた。大変なことをしてしまったと、大あわてでキャンプ場に戻る。管理人のおばさんに鍵を返して謝ると、「出発した後なら、郵便ポストにでも放り込んでくれれば、鍵には住所が書いて有るので届から大丈夫」とのんびりしたことを言っていた。なんともニュージーランドの田舎町らしいことだと思った。 |
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再びキャンプ場を後にして走り始める。町の出口にある峠のゲートには「Lindis Pass Open」との表示。通行不可になることもあるということは、それなりのスケールの峠なのかと覚悟する。 だんだん角度がきつくなってきて、周囲には背の高い木が無くなり、山は茶色の肌を見せるようになってきた。タダでさえ少ない車の交通量はほとんどなくなり、だんだん寂しくなってきた。車が来ないのをいいことに、休憩をかねて道のまん中に座り込んで写真を撮る。ついにピークが見えるところに来ると角度はかなりなものとなり、ほぼ直線的にピークに登るようになる。最後に右に大きく曲がってへとへとになって峠に到着した。 海外の峠を越えるのは始めてである。峠にはちょっとした看板があり、何か書いて有る。記念写真など撮りつつ大休止をしていると、細い葉巻型のボディーから車輪が飛び出した、クラシカルな四輪車が峠を越えて私が登ってきた方向に下っていった。この国にも好き者がいるのだなと思いつつ峠を下り始める。 |
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ずいぶん下ってきたのか、緑の木々が沿道に増えてきた。タラスの集落に入ったところにお土産やさんがあり、「トイレ→」と日本語で書いて有る。こんな田舎町にも日本人の団体がバスで訪れるのだろうか。と思った自分も引き寄せられて店内を覗いてしまった。 ワナカ湖に向かって川沿いの道をさかのぼる。日没時間が近くなり、だんだん寂しくなってきたので、すれ違う地元の車に手を振ることにした。日本では考えられないことだが、どの車の運転手も、にこやかに手を振り替えしてくる。たまに無視するのは日本人と思える東洋人カップルの乗ったレンタカーだけであった。 |
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ワナカ湖の湖畔の集落にあるワナカYHに到着。もういい時間なので、すぐさま近所の食料品店に買い出しに行き、例によって自炊。泊まっている人は多いのだが、この日のワナカYHのロビーは今一つ明るさにかけていた。私をにらむ様に見ている若い男が一人いてとても気になった。。 殺風景な部屋に2段ベッドが4つというベッドルーム。ここもなにか暗い雰囲気だったが、建物の中が全体的に照明が暗いのがこの重苦しい雰囲気の原因なのだろうかなどと思いながら早々に寝る。 |