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今日はいよいよイングランドを離れる。早めに起きて、 ガレージに向かい、朝起きたばかりで言うことを聞かない腰に 気を使いながら、廊下で自転車をパックし、シャワーを浴びて から、朝食を取る。 チェックインの時ようなことはないだろうと、チェック アウトのためにカウンターに並ぶ。しかし、またしても、前の 人が、うだうだ話し込んでいる。こっちは、鍵を返すだけだと 言うのに、10分以上待たされた。飛行機の時間の2時間前には 空港に到着するつもりであったが、この調子だとそうは行かな いようだ。ブラックフライヤーズ駅まで歩く間、久しぶりに担 ぐ自転車のため、腰に負担がかかっているのを感じる。 |
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ブラックフライヤーズ駅から地下鉄に乗って、ヒースロー 空港に向かう。例によって、自動販売機での切符の買い方がわ からない。時間がないので、とてもあせる。窓口でヒースロー 空港の名を告げて切符を購入。よそものにとってはこれが一番 簡単だ。 地下鉄の進行方向を間違えずに注意しながら、サークル (環状)線のホームに降り、到着した電車に乗り込む。通勤時 間帯のピークは過ぎているものの、そこそこの混み具合である。 サウス・ケンジントン駅で一度降りてピカデリー線に乗 り換える。乗り込んだ列車は郊外へ向かう下りだからか、車両 内は空いている。乗り込んだ列車が、ヒースロー空港に行くの か確認するため、列車に表示された行き先を地下鉄路線図で探 すが見つからない。途中の駅が終点であれば、降りて先に行く 地下鉄を待つしかないが、このピカデリー線は途中の駅で空港 に行くルートと分かれて別の方向に行くコースもある。もしそっ ちに行ってしまい、飛行機に間に合わなかったらどうしようと ますます焦る。列車内のアナウンスの英語はほとんど聞き取れ ないし、半分パニック状態に陥っているようだ。 地下鉄はすでに地上を走っていて、とても天気がいいが、行き先が気になってそれどころではない。隣にいる私と同じ歳ぐらいの男性を捕まえて「私はヒースロー空港に行きたいが、この列車は行くのか?」と訪ねると、「わからない。」という答えだった。途中までしか乗らないので、この列車がどっちに行くのか気にせず乗ったというから、わからなくても無理はない。 どうしようかと思っていると、途中の駅でその男性は降りて行った。と思ったら、その人が戻ってきて、ドア越しに私になにか言っている。ついには閉まりかけているドアを押さえてまで。何と親切なんだろう。急なことでよく聞き取れなかったが「XXX駅で降りろ」と言っていたようなので、どっちにしても空港に行かない列車であることは間違いない。どうやら途中の分岐点の駅名を告げていたようだ。 |
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分岐点のアクトン・タウン駅で下車し、空港行きの地下鉄を待つ。すぐには来ないので焦るが、やっと来た地下鉄に乗り込み、ヒースロー・ターミナル123駅に到着した。時間がないので、急いで空港まで行かなければと改札を出て愕然。私の乗るSAS機は3つあるどのターミナルなのか全く解らない。チケットや発券時の書類を見てもターミナル名までは書いてないし、往路は台風のため予定外のブリティッシュ・エアーで到着だったため「来るときと同じ場所ね」というわけにも行かない。いや、もしかしたら、もっと離れたターミナル4なのかもしれない。そうであれば、地下鉄の別の駅に来てしまったことになる。えらいことだ。 だれかが改札の係員に航空会社名を告げている。よく見ると、航空会社名の一覧が係員の詰め所の壁に貼ってある。ワラをもつかむ気持ちで私も同様にSASの名を告げ、ターミナル番号を知ることができた。放置してあるカートの一つに荷物を乗せて、地下道を急ぐ。空港ターミナルまでの距離がとても長く感じられたが、なんとかターミナルに到着した。 |
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急いで、SASのチェックインカウンターに向かう。カウンターには私と同様、コペンハーゲン経由で帰ると思われる日本人の客もいて、ホッとした。自転車を預ける際に、荷物の梱包の仕方を尋ねられたが、突然の質問で何を言っているのか解らず、挙げ句の果てに各国語で書かれたカードが出てきてやっとチェックイン完了。チェックインさえ間によくば後は何とかなる。搭乗時間まで1時間以上あるので、焦っていた自分がアホだったということか。 |
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出国手続きをして、国外にでた。まだまだ時間があるので、半分諦めていた買い物をすることができる。家族や知人への土産をいくつかの免税品店で購入する。ブランドや、著名な店の名前など、ほとんど知らない私であるが、昨晩、西川さんからいろいろ聞いていたのが役に立った。 |
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コペンハーゲン行きのSAS機の搭乗開始の案内が電光掲示板に出ているので、またまた焦ってゲートに向かう。まだ搭乗は開始されておらず、またまたホッとする。 搭乗開始。この区間、往路は台風到来のハプニングで予定外の英国航空であったが、帰路は予定通りSAS機である。無事離陸が完了。さらばイングランド。 |
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コペンハーゲン空港に到着。この空港はこれで5回目なので慣れた物だ。往路では時間の余裕は全く無かったが、今回は空港内の免税品店で多少の買い物ができそうだ。余ったポンドをデンマークの通貨であるクローネに換える。日本でもコマーシャルで見かける明るい原色を使ったポップな絵柄のTシャツが並んでいて、その中から自転車の絵の物を買い求める。Lサイズでもかなりの大きさで、北欧人の体の大きさを思い知らされる。 |
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お店などが立ち並ぶターミナルビルから直角にのびた廊下を歩いて行く。例によって、かなりの距離である。目的のゲートの脇にある窓越しに出発準備をしているSAS機が見えてきた。 ゲートにいる日本人係員に搭乗券を見せると、ちょっと待っていてくださいと言い残して行ってしまった。あれれ、なにかまずいことでもあるのかなと思って待っていると、戻ってきて、申し訳ないが、都合があって席を替わってほしいとのこと。一番前になってしまうが、ビジネスクラスと同じシートだと言う。帰りの長時間フライトで腰の状態が心配な私は、もちろんOK。SASの思いがけないビジネス席はこれで2度目である。 ビジネスクラスの席は、先頭右の窓際であった。まったくの隅のため、圧迫感が無いでもないが、幅が広く、フットレストや、より水平に近いリクライニングの座席に満足である。先頭座席であることも、前の人に煩わされることがないので、悪くない。 機内では、手帳や書類を取り出し、忘れないうちに旅の記録の整理にかかるが、飲み物や食事が出たり、気になる映画が始まったりと、意外と作業をする時間がない。作業を始めても、ついもうとうと眠ってしまうので、機内で暇を持て余してしまうということはなかった。 |