集合時間の9時半を30分も遅れて昨日イベントのあった広場に到着。すでに多くの人が集まっていて、博士を含め35マイルのロングコースを走る人々は地図を確認し、声を掛け合って出発していった。我々は20マイルのショートコースへ参加なので、出発はもう少し後のようだ。
ロングライド組が出た後、ニッカーズボンをはいた年輩の日本人が現れた。ロングコースを走るために今日、車で駆けつけたようだ。何年か前からイベントに参加しているが、イベントの1日目は毎年同じなので今年はサイクリングンだけ参加するという。借り物のAM-Speedのサスペンションを硬く調整した後、みんなを追いかけて走り去った。
我々はナオミさんとレイチェルさんにお願いして荷物を事務所の入り口脇に置かせてもらい身軽になった。西川さんは帰りの列車の時間の関係で、昼食地点で早めに引き上げて来る可能性もあるが、これなら自由に荷物を回収できるので問題はない。
出発の時間になったのでぞろぞろと出発する。モールトン社の門を出て、前方にまっすぐに延びる道を一列になってゆっくり走る。30台ほどのモールトンが一列になって走る姿は、地元B-O-Aとは言え、かなり異様な風景のようで、道行く人が珍しそうにこちらを見ている。ショートコースはオールドタイプのモールトンや子供連れ人の参加が多い。MBCのTシャツをデザインした長髪のアンディー・フォーリー氏は2人の子供を乗せたリアカーを引いて力強く走っている。私のAM-14と一番近い型で同じ色のAM-14に乗った婦人は夫婦で参加している。
我々は交差点の道標と手持ちの地図を見比べる限り西の方に向かっているようだ。しかし少し走って行くとB-O-Aから北の方向の町にいる。昨日北の方からB-O-Aに着いたときはかなりの標高差を下ってきた。これからB-O-Aからは北の方角にあるビデストーンという町に向かっているようだが、なるべくきつい上りを避けるため大きく蛇行しながら、そしてなるべく交通量の少ないコースをとるようだ。
小さな町を通った時に何人かの人が休憩を兼ねて食料品店に寄っている。我々もジュースやチョコレートなど買い込む。日本人は珍しいと見えて、何人かの人が「楽しいですか?」と話しかけてきた。日本ではモールトンを売っているのかとか、有名なのかとか聞かれる。
西川さんと他の何人かと話しをしているうちに、みんな出発してしまい我々とモールトンMk3に乗る英国人2人だけになってしまった。我々はコースをよく知らないので、他の2人について行くと、町を出る前に雨が降ってきた。小降りの雨はすぐに本降りになり、建物の入り口の小さな屋根の下で雨宿りする。日本の夏の夕立のようなシャワーはよくあるようで、町を歩く人は傘も差さずに歩いている。私はすぐにポンチョを取り出して着る。ほどなく小雨になったので走り出す。
道ばたの生け垣の上に、うさぎや鳥の形をした庭木が見えてきた。1人が記念に写真を撮ってもらっている。隙間から生け垣の中を覗いてみると、英国ではよくある美しく手入れされた庭園である。このころになると完全に雨は上がり、太陽が出てきててずいぶん暖かくなってきた。私がポンチョのフード部分だけを脱いで走っていると、1人の英国人がそういう形のレインウェアは珍しいと話しかけてきた。西川さんがなかなか来ないと思っていたら、英国人の一人クリーブと自転車を交換して乗っているのだった。