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ツーリストホームを出発。夕食はもちろんのこと基本的に朝食も出されないので、皆で記念写真を撮った後さっさと出発する。今日は連泊のこのツーリストホームに荷物を残し、軽装備でマリーン湖まで往復する予定だ。 ジャスパーの中心部で朝食を調達する。どこか途中で食べるとする。 |
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ジャスパーの町からアサバスカ川や鉄道に沿って東へ向かい、町並みが切れて少し行ったところで川を渡って南へ向かう。1週間かかって走ってきたアイスフィールドパークウェイとは山脈1つを挟んで平行に走る道を南下するわけだ。最初は少々きついアップダウンが多かったが、道がマリーン川沿いに通るようになると緩やかな登りになっってきた。しかし、少し行った所で、なんと道は舗装が切れダートになった。立て看板には「CONSTRUCTION(工事中)」と書いてある。 こんなダートが続くとなるとパンクを始め、ある程度の故障は覚悟しなければならない。と思ったとたん、工具を持ってこなかったことに気が付く。かなり距離があるので、マリーン湖付近で身動きできないような故障をしたらどうしようか。工具を取りに戻ろうかとも思ったが、車の通りがないでもないので、いざとなったら自転車を置いてヒッチハイクでもすればいいかと走り始める。 なかなかダート区間が終わらないなと思っていると、工事の現場に到着した。たまらず工事をしている人に尋ねると何と全区間ダートだと言う。「オー・マイ・ゴ」という言葉が自然に出てしまった。諦めきれずにもう一度トライすると、今度は3kmぐらいだと言う。さっきは焦っていてそうでなくても不得意な英語が通じなかったのだろう。ほっとして走り始めると数kmの所で道はきれいな舗装路に変わった。 |
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メディスン湖という名前も変わっているが、湖畔から眺める風景も変わっている。湖面をとりまく周囲の山肌には木がほとんど生えていず、茶色い裸山ばかりでとても殺風景だ。冬には湖水が湖底にしみこんでなくなってしまうという不思議な湖だそうだ。 谷に沿って細長く延びるメディスン湖の向こうにはこれから走って行く道が見え、その先の方には何やら太陽の光に反射して光っている平面が見える。建物の屋根にしては大きすぎるので、まさかと思いながら走っていると、やがて正面にそれが立ちはだかった。いきなり壁のような坂である。それでも軽装備であることを幸いと蛇行しながら登って行く。この仇は必ずやとるぞと、帰りの下りを楽しみにひたすら走る。 |
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マリーン川を横切ること2度。ここからは川から離れた所を直線的に切り通して作ったような道を走る。山羊などの野生動物が土手のようになった道の脇にたたずんでいる。もうマリーン湖は近いようだ。 もう一度橋を渡るとその左手にマリーン湖が見えてきた。地図で見るように、マリーン湖はかなり細長い氷河湖で、遥か湖の奥には雪をかぶった山々がそびえる。観光船の時間を確認して湖畔のレストランで昼食を取る。 |
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定員30名ほどの小さな観光船は、6割ほどの乗船率。よくわからない英語の観光案内を流しながらマリーン湖の奥の方に進んで行く。船は20 km程ある細長いマリーン湖の半分ぐらい行ったところの湖が少しくびれたところに回り込んで桟橋に船体を寄せた。 全員船から下りてハイキングコースを少し歩いて行くとすばらしい景色が現れた。湖面に小さな陸地がありそこに数本の針葉樹が生えている。これまたよく風景写真等で見かける有名な景色でスピリットアイランドと呼ばれている。見ていると行ってみてそこで一日ぼーっとしていたくなるような衝動に駆られる。このスピリットアイランドを見るのが売りのクルージングのようだが、写真を撮って少し眺める時間しか与えられないのは残念だ。 |
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再び観光船に乗り込み、だんだん離れて行く雪をかぶった3, 000m級のの山々を観光船の後部デッキから眺める。カナディアンロッキーを満喫する自転車の旅も終わりに近づき名残惜しい気分でいっぱいだ。特に船というのはそういったしめっぽい感情を増幅させる。 |
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桟橋に戻ってきた観光船から下りて、土産屋をちょっと覗いたりした後、水をボトルに補給して来た道を戻る。 |
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来るとき登った例の坂を下り再びメディスン湖に到着。往路ではただ通過するだけであったが、帰りは先の道の様子も知っているのでのんびり写真など取りながら小休止。車が来て乗っている人が窓越しに声をかてきた。「あれ、自転車で来てたの?さっき観光船で一緒だったわね。」といった内容のようだ。 |
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ジャスパーの町にずいぶん近づいてきた。ここからの帰りのコースは来たときとちょっと変えて少し寄り道し、エディス湖に寄って行く。この付近はアサバスカ川を挟んでジャスパーの町とは反対側に位置し、高級リゾートホテルとして名高いジャスパー・パーク・ロッジがある場所だ。 エディス湖は今まで行った所に比べあまり印象に残らない湖であった。この付近は、やはり高級リゾートに宿泊している人がサイクリングや散策をするように整備されているようで、ちょっと場違いのような気がした。日本に比べずいぶん安くプレーできることで有名なゴルフ場の脇できょとんとこっちを見ているリスをカメラに収めていると、また観光船で一緒だったという人に声をかけられた。さっきの人も今回の人もジャスパー・パーク・ロッジの宿泊者なのかもしれない。 |
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無事、ツーリスト・ホームに戻ってきた。 |