ノルウェーサイクリング

ノルウェーサイクリング 詳細
1991年9月13日 金曜日 真っ暗なトンネルを抜け著名なフィヨルド観光ルートを満喫


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走行ルート
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Voss YHVoss駅StalheimGudvangenフェリーポートAurlandフェリーポートFlam駅
天候
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雨後くもり
宿泊先
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オスロ行の夜行列車で車中
走行データ
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走行距離:60km
支払い
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国際電話(ストックホルムSASオフィス)NOK50.00
峠付近の食料品店NOK11.05
ジュース
ヨーグルト
グドバンケンフェリーターミナルのカフェテラスにてNOK22.00
コーヒー
ドーナッツ
フェリー運賃(グドバンケン→オーランド)NOK37.00
オーランドのレストランにて夕食NOK50.00
フロム駅のカフェテラスにて夜食NOK55.00
ハンバーガー
コーラ
コーヒー
夜行列車運賃(フロム駅→オスロ中央駅)NOK355.00
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Voss YH 09:30発
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早い列車に乗るため朝早く出発する同室の日本人2人を部屋から見送る。ベルゲン−オスロ間の国内線飛行機をキャンセルする手続きため、オフィスが開く時間を待ち電話をする。しかしYH内の公衆電話が壊れているため、YHを出発してヴォス駅に向かうことにする。

YHの会員証を受け取るときに日本人学生の会員証が目に止まった。彼は朝早く出て行ったので、受取り忘れたに違いない。もう一人の田中氏はYHの会員でないので、会員証を受け取ることを思い付くわけもなく、2人は出発したのだ。もう列車は出た後なのでどうすることもできず、YHの人にそのことを告げることしかできなかった。これからまだ旅が続くような話をしていたので、これから先の不自由を察する。

Voss駅 10:30発
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トビンネの滝s5tr
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トビンネの滝

ヴォスの駅の公衆電話で、スエーデンへのSASオフィスへ国際電話をかける。英語がろくに話せない私にとって、言葉だけのコミュニケーションである電話となるとすんなり行くわけがない。それでも、ガイドブック等を参考にベルゲン−オスロ間の国内線をキャンセルしなければならない。

チケットを片手に、キャンセルを訴えるが、私の予約が確認できないとのことで何度も名前のスペル等を答え、必至に英語で格闘する。小銭がなくなり一度電話が切れ、両替してリトライ。全部で30分ぐらい話してやっとのことで国内線のキャンセルと国際線のリコンファーム(搭乗確認)を行った。

小雨の中、予定よりずいぶん遅れて、ヴォスを出る。有名な観光のポイントであるシュタルハイムの谷やオーランドフィヨルド方面に向かう。鬱蒼とした森の中を、小さな湖やトビンネの滝を横に見ながら、緩やかな傾斜の登りを快走する。

Stalheim 14:00着 14:20発
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著名な景観地Stalheims5tr
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著名な景観地Stalheim
ホテルから見るStalheims5tr
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ホテルから見るStalheim

ピーク付近にある湖の手前で分岐点に到着した。予定のコースでは世界最大のソグネフィヨルド(もちろん標高0m)をフェリーで横切り、いきなり1,000mほどあるかなりきつい峠を越えてこの分岐点に降りてくるはずであった。そちらに行かなくて済むと言う安堵感と、峠付近の展望台ではさぞ素晴らしいフィヨルドの眺であろうと思うと複雑な気持ちだ。

力の入る登りをこなし、ほどなくピーク付近の湖に達した。例によって細長い湖の沿岸には白樺の林の中、別荘がぽつりぽつりとあり、すばらしい環境だ。湖岸を快走し湖をすぎるとあまりピークらしくない平地になった。付近の売店でジュースやヨーグルトを買って小休止をする。

下りはじめると間もなく、シュタルハイムの谷を展望できるホテルへの分かれ道に差しかかった。ちょっと通りすぎたが、気がついてすぐに戻り、また登りがはじまった。20分ほど走ってホテルの正面に到着する。ヴォスで同室の田中氏から聞いていたとおり、ホテルの脇からは大した展望がきかず、やはりホテルの庭に出て展望を楽しむほかないようだ。

ずかずかとロビーを横切りラウンジを出て庭に入る。さすが素晴らしい眺めだ。絶景である。高い山々の中、正面には映画「未知との遭遇」に登場するデビルズタワーのような山が見え、ずっと下にはこれから下って行く谷の道がくっきり見える。

また下りの始まりだ。ホテルの庭から見下ろしたときに、道路が山中に消えて行くように見えたがやはりすぐにトンネルだ。かなりまとまった下りの途中なので、勾配がきつくなっているか、かなり曲がっているかのどちらかだろう。

舗装したばかりか、路面がしっかりしていて、黒い路面から白いラインがくっきり浮出ている。頭につけたライトの明りが蛍光塗料の混じった白いラインを光らせ、それを頼りにハンドルのコントロールをする。前進するのは重力にまかせ、ブレーキでスピードコントロールを行うだけだ。ちょっと油断をしていると速度が増し、ラインを見失ないそうになる。

後方から来る自動車のライトがトンネル全体を映し出し、いかにトンネルが曲がっているかを思い知らされる。前方から来る自動車のライトは、逆の意味で視界全てを完全に無の世界にしてしまい、自然に下っていることも手伝って、太陽に向かって空をとんでいるかのような錯覚を起こさせる。

Gudvangenフェリーポート 14:50着 16:50発
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Stalheimの牧場s5tr
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Stalheimの牧場
カナだから来たサイクリストとs5tr
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カナだから来たサイクリストと

やっとのことでトンネルを抜け出すと、楽しめるような角度の下りはもう終わっていた。しかしついさっきホテルの庭から見た通りのパノラマの中を走っていることには変わり無く、切り立った両サイドの山を仰ぎ見ると、自分がいかにちっぽけな存在にすぎないかを感じずにはいられない。

少し谷が開けたなと思ったとたんに、前方にフィヨルドの端が現れ、グドバンケンのフェリーターミナルに到着した。フェリーターミナルにはこの辺では珍しく立派なカフェテリアとバンガローがある。時刻表で調べてあった通り、今度のフェリーは2時間後だ。とにかく2時間どうやって暇を潰そうかと周囲をうろうろして、作戦をねる。

結局、カフェテリアでコーヒーとドーナッツを食べ、カフェテリアの正面の、川がフィヨルドに流れ込んでいるところで、クラゲに石をぶつけて1時間をつぶした。ふとカフェテリアの入口の方を見ると、マウンテンバイクに乗った背の高い男性が到着。暇を持て余していたこともあり、つかさず声を掛ける。自分の愛車を指さし、これ俺んだと言うと、彼もやっと同じ境遇の人間と出会えたというような顔をし、「お前ライト持ってるのか?」といきなり聞いてきた。トンネルをどうクリアしたかを身振り手振りで伝えると、「俺はライト持ってないので押してきた」と彼が言う。「えっつ、押しでも方向がわからないでしょ?」と聞くと、「足でトンネルの壁を触りながらね。あとこれね」とライターをジュポッと灯す。

彼はカナダから来た地学者で、自転車はもっぱらバラさずにそのまま列車に乗せてもらうとのこと。名はスティーブと言う。到着したフェリーが日本人観光客を沢山吐き出した後、スティーブと共に自転車を押してとぼとぼとフェリーに乗り込む。

船はナールオイフィヨルドをソグネフィヨルドに向かって進み、ソグネフィヨルドに達する前で鋭角に右に曲がってオーランドフィヨルドに入ってゆく。

Aurlandフェリーポート 18:15着
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Aurlandフィヨルドs5tr
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Aurlandフィヨルド

もう少し先のフロムまでフェリーが行くのならフロム発の1本前の列車に間に合うところだが、このフェリーはオーランドが終着である。多くの乗客はフェリーを降りると、待っている観光バスに乗るようだが、我々はフィヨルド沿いの道を人気のないフロムの方面に向かって行く。途中一部ダートがあるが、舗装待の状態で走りやすい。

町外れの小さなレストランで2人で食事をとり、フロムの駅にむかう。彼は都合のよいところでテントを張って泊まるそうだが、私は深夜にフロムを出発する列車に乗ってオスロまで行く。

Flam駅 19:40着
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支線の終点Flam駅s5tr
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支線の終点Flam駅

フィヨルドのどんずまりの所にフロムのフェリーターミナルと駅が見えてきた。スティーブと駅の入口で別れ、かろうじて日のあるうちに駅前で写真を撮り、待合室の脇で自転車をパックする。

小さな駅舎の待合室に荷物を運び込み窓口が開くのを待つ。やっと窓口のカーテンが開いたのでオスロまでの列車の切符を購入する。フロム−ミュダール間は普通列車なので関係はないが、ミュダール−オスロ間の特急に関してはこの時間では指定席が取れないとのことだ。やむなく指定なしの特急券を買い求める。座れなかったらどうしよう。

待合室で待っていると、バックパックを背負った若者が入ってきた。疲れているのか眠そうな目をしている。こぎれいな待合室であるが、さっきからどうも変な匂いがする。ふと見ると彼がいない。トイレに行くと強烈にさっきの匂いがして、くらがりにさっきの彼が倒れている。びっくりしたと同時に、即座に状況を理解した私は「Are you OK?」と思わず口にした。泥酔して戻したらしく、匂いの発信地は洗面台であった。大きい方のトイレは有料なのでこんなことになったのだ。

ちょうどその時、駅員が待合室に入ってきた。駅員が状況を察し、泥酔して座り込んでいる若者をトイレから追いたてた。その後、私に向かってやさしい口調で、この待合室は12時前まで閉鎖してしまうので、出て行ってほしいと言う。こんな夜中にほおり出されても困るなと思った瞬間に、あっちの方に深夜までやっているカフェテリアがあるから、そちらで待っていてほしいと、フェリーターミナルの方を指さし私を促す。他にお客さんがいたら声をかけてあげてほしいとのことだった。

駅員の指示に従い、フロントバックのみ持ってとぼとぼと暗闇の中を線路をまたいで明りのある方へ向かう。そこそこの規模のカフェテリアが有り、中には金曜日の夜を楽しむ若者が数組たむろしていた。特に危険な雰囲気ではないので、角の方の静かなところに陣取って、夕食を兼ねてハンバーガー等を食べる。

まだ時間があるので足を伸ばしてくつろいでいると、さっきの泥酔バックパッカー君がよろよろ入ってきて、私の視線の方向に座るなりテーブルにうつ伏せになった。店の人が見て呆れていたが、暴れたり、店を汚すようなことがないようなので、おとがめはかった。

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