深い谷を抜け広く田畑が広がる大野の盆地に下ってきた。福井の小京都と言われる大野市が近い。ここで宿泊できるところが有ればゆっくり古い町並みを見物して行きたい物だ。標識に従い大野市をぐるっと迂回するバイパスから離れて市街地へ入りとりあえず駅に向かう。
駅舎内で暖かい缶コーヒーを飲みながら宿泊案内を見る。民宿等は見あたらず、旅館しかないようだ。大野は福井市を始め他の有名な観光地からからそれほど離れているわけでもないので、ここに泊まる観光客は少ないのかもしれない。
昔行ったことのある永平寺にもYHがあり、もう一度永平寺をゆっくり見て行きたいと言う計画もあったが台風が福井市に向かって接近していることもあり明日の天気は期待できない。一気に福井市まで下り今日は福井市の中心部にあるYHに泊まることにしYHに電話をする。
粗末な昼食の上、下りといえども雨の中ひたすら走っていたので空腹感がおそってきた。最近こうなるとすぐにハンガーノック状態になってしまう。幸い雨はほとんど上がっているのでフロントバック横のポケットに忍ばせてあるチョコレートバーを取り出してかじりながら走る。
大野からは小さな峠を越えるため少し上ってトンネルを越える。九頭竜川の流れの通りに勝山市方面に行っても福井市には出ることができるが、こちらの国道158号線のほうが北緯36度線に近く、距離も若干短い。
車の交通量が多く排気ガスだらけのトンネルを抜けると再び谷が狭まり川沿いの細い道になった。小さいとはいえ峠を越えたため別の川(羽生川)沿いに出たことを実感する。
再び雨が降ってきた。時間とともにどんどん雨量は多くなってくる。悪天候の上日没が近くなりますます暗くなってきた。道路の凍結防止のための湯が出る穴と増える一方の車をかなり気にしながら走る。
永平寺方面への分かれ道を未練もなくパスし、標識に従い福井市内へ向かう。この付近からは地図にはないバイパスができているようで、本来は羽生川沿いにくねくね行くところをバイパスは少し高いところに上った後、山に掘られたトンネルと谷にかかる橋を交互に繰り返しながら車の流れに従って直進的に走る。高速で走る車の巻き上げる水煙と暗さと眼鏡の水滴があいまってトンネルの入り口などの路肩の縁石に危なく突っ込みそうなことがあってひやりとした。