北緯36度線サイクリング

北緯36度線サイクリング PART3 WEST後編(諏訪湖〜越前岬) 詳細
1994年9月28日 水曜日 美濃から桧峠を越えていよいよ越前の国へ


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走行ルート
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民宿長兵衛蛭ヶ野峠(分水嶺公園)阿弥陀ヶ滝桧峠石徹白九頭竜湖駅越前大野駅福井婦人青年会館YH
天候
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雨一時くもり
宿泊先
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福井県婦人青年館YH
走行データ
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積算距離:1702.8km
走行距離:101.5km
走行時間:7時間00分00秒
支払い
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民宿宿泊費¥6,000
民宿暖房費¥500
コンビニ(昼食)¥490
カレーパン
オレンジジュース
焼きそば
ホット缶コーヒー¥110
YH宿泊費¥3,700
コンビニ(夕食,朝食)¥1,450
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民宿長兵衛 08:10発
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朝起きたらどんより曇っているが、雨はかろうじて上がっているようだ。朝食を済ませ出発の準備をする。昨日から乾かしていた衣類を再び着込んで外に出ると、また小雨が降り出していた。

蛭ヶ野峠(分水嶺公園) 08:20着 08:30発
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蛭ヶ野高原にある蛭ヶ野峠は分水嶺で、信濃川の源流点だs5tr
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蛭ヶ野高原にある蛭ヶ野峠は分水嶺で、信濃川の源流点だ

出発前にガイドブック等で仕入れていた情報によると、蛭ヶ野高原は伊勢湾に流れ込むに長良川の源流に近く、日本海側に流れて行く庄川との分水嶺となっていて分水嶺公園なる公園があるそうだ。

高原の外れに位置する公園に着いて記念写真を撮る。わき出てきた水が人為的に二つの河に分けられ、やがて太平洋と日本海に流れて行く。ここはほぼ北緯36度線に近く、少しだけ高緯度に位置する。

飛騨側から高原に登ってきた感じでは一般的な峠の地形とは思えないが、公園の石碑には蛭ヶ野峠と書いてある。日本海側の飛騨地方に別れを告げここから太平洋側の美濃地方に下るわけだ。

公園を出るとすぐに本格的な下りとなった。飛騨側から登ってくるのとはスケールの違う勾配である。下りの方が登りよりも角度が大きく感じられるという人間の感覚を差し引いても、かなりな差である。もし逆コースを来たならば、長良川沿いの峠道を登るという感覚は自然はものなのだろう。

途中何度かトンネルをくぐって下るうちに雨足がかなりきつくなってきた。次のトンネル出口でたまらず雨を避けて小休止をするが、20分ほど待っても雨量は変わらないので、しびれを切らし再び下り始めた。

桧峠上り口 09:20着 09:30発
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高鷲村の中心部でまたまた雨を避けて休憩して、再び走り始める。走っているうちに少し小降りになってきたので、白鳥町から油坂峠を越えて福井県の九頭竜湖に向かう予定であったが、時間的にも余裕がありそうなので、より北緯36度線に近い桧峠を経て九頭竜湖に向かうこととする。

桧峠を越えるルートは、途中に阿弥陀ヶ滝や峠付近にゴルフコースなどのレジャー施設があるものの福井県に抜けるルートとしては油坂峠に比べると主要道ではなくかなりマイナーな道のようだ。桧峠へ登る道との分岐点にある小さな商店で昼食となる物をかろうじて買い込んだ際に福井県に抜けることが可能なのかと尋ねると途中工事をしているとのことではっきりした返事がなかった。自転車なんですがと言うと大丈夫でしょうと言う答えが返ってきた。

阿弥陀ヶ滝 10:20着 11:20発
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雨もほとんど止み、農家の点在する中をハアハア言いながら登って行くと阿弥陀ヶ滝の入口の看板があった。自転車を止めて見に行こうかと思ったが、滝までは距離がりそうで、歩いて行く元気はなく休憩だけする事にし、再び峠を目指して登り始めた。大きなコーナーを曲がると、大きな駐車場があり、ここから阿弥陀ヶ滝に行けるようだ。ここからは車道が続いているので自転車で行くことにする。少し登りはある物の、すぐに滝に着くことが出来た。

さすが日本百名滝の一つだけあって、観光客相手の食堂のような物がある。しかし客も店の人も誰もいないのでとても寂しい。自転車を食堂の軒先に止め雨に濡れて滑りやすくなった石の道を歩いて行くと大きくストレートに落ちる滝が視界に入ってきた。天候のせいもあるが、阿弥陀という名から連想される通り暗いイメージの滝だ。

滝壷の近くまで行き一回りしてさっさと駐車場に戻り桧峠に向けてひたすら登る。途中工事中のため片側通行の区間があったが、どろんこ道に足を着くこともなく快調に標高を稼いでいる。

桧峠 11:40着 11:50発
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道端にスキー場などのリゾート地の宣伝の旗が並ぶようになり、少し行くと道が開け交差点になりゴルフ場の大きな看板が目に入った。もしやと思い周囲を見回すと右手前に桧峠の小さな峠の碑が他の石碑とともに草むらから顔を出していた。

ゴルフ場への脇道を無視して、峠を真っ直ぐに西に向かうと石徹白へ下って行く道である。ここからは日本海側の水系になり、桧峠は明らかに分水嶺となっているのだが、これから向かう石徹白はまだ福井県ではなく岐阜県である。本当に福井県側に抜けられるのだろうか心配になってきた。何らかの都合で石徹白には日本海側から入ることが出来ず、生活圏を考え岐阜県に編入されたのだとするとますます心配になる。

石徹白 12:10着
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一瞬開けた石徹白の集落を過ぎ、舗装直前の工事中の道を通って行くとだんだん道が狭くなってきた。一応川沿いに少しづつ下っているようで、目的のルートから外れていることはないようだ。だんだん川の両側の岩壁が迫ってきてはいるものの、自家用車がやっと1台走れるほどの道しか作れないほど狭い谷ではない。道の両側には植林したと思えるような低木の植わった平坦なエリアが広がっているのだ。

岐阜県福井県境 12:15着
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この先ちゃんと福井県に抜けることが出来るので有ればこんな快適な道はない。車が来ることもほとんど無い自然の中を通るサイクリングロードのようなものだからだ。徐々に谷が狭くなり、川と岩の壁にに挟まれるようになる。舗装状態もいい加減になり少し行ったところでついに福井県の看板が現れた。急に道の舗装状態が良くなった。

家族旅行村入口 12:35着 13:25発
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これから下りが楽しみだと思ったのもつかの間、小降りだった雨が強く降り始めた。とりあえず雨宿りできるところを捜しながら下るが、建物はほとんど無く、濡れながら下る。今日の今までの天候の状態からすると、すぐに止むだろうと思っていたのだが、今度ばかりは一向に止まない。日本海側に出たので太平洋側の天候は参考にならないのか。逆に峠を越え下ったら快晴の天気だったというのを期待していたのだが。

なにやら河原にバンガローのあるキャンプ場のような施設が見えてきた。その施設の入口にある小さな案内所の建物の軒下で雨をしのげそうだったので飛び込んだ。軒は人間が立ったままのやっと雨をしのげるほどの張り出しかなく、自転車を立てかけ、雨に濡れないように昼食をとる。

途中の工事現場に向かうダンプカーが通るだけで峠を越える車はないようだ。さっき行ったダンプカーが工事現場から引き返すのを何度も見ながら、雨が小降りになるのを待つ。いくら待っても雨足は弱くならない。森を抜けて九頭竜湖まで下れば天候も変わっているかもしれないと思い走り始める。

九頭竜湖駅 14:00着 14:30発
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ほとんどずぶぬれ状態で九頭竜湖岸の国道と合流。当初予定していた油坂峠を越えてくる道だ。福井市から延びている越美北線の終点の駅である九頭竜湖駅に転がり込んで雨宿りをする。

防水が自慢のマウンテンパーカーもついに縫い目から雨が漏ってきて、脱いでベンチに広げてタオルで雨水をふき取る。むなしいかな雨は相変わらず降り続いているので一時の気休めに過ぎないことは解っているのだが。

この駅はログハウス風の作りで観光案内の展示がある。一通りそれを見終わった後しびれを切らして出発する。少しは雨足が緩やかになったのかなと思いながら日本海に向けてのひたすら下りはじめる。

最初はさほどの勾配の下りではなかったが、途中から深い谷を見おろす崖っぷちをまとまって下るようになる。そのころになると雨はかなり小降りになり、ブレーキを握る手にも余裕が出てきた。

越前大野駅 16:00着 16:20発
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深い谷を抜け広く田畑が広がる大野の盆地に下ってきた。福井の小京都と言われる大野市が近い。ここで宿泊できるところが有ればゆっくり古い町並みを見物して行きたい物だ。標識に従い大野市をぐるっと迂回するバイパスから離れて市街地へ入りとりあえず駅に向かう。

駅舎内で暖かい缶コーヒーを飲みながら宿泊案内を見る。民宿等は見あたらず、旅館しかないようだ。大野は福井市を始め他の有名な観光地からからそれほど離れているわけでもないので、ここに泊まる観光客は少ないのかもしれない。

昔行ったことのある永平寺にもYHがあり、もう一度永平寺をゆっくり見て行きたいと言う計画もあったが台風が福井市に向かって接近していることもあり明日の天気は期待できない。一気に福井市まで下り今日は福井市の中心部にあるYHに泊まることにしYHに電話をする。

粗末な昼食の上、下りといえども雨の中ひたすら走っていたので空腹感がおそってきた。最近こうなるとすぐにハンガーノック状態になってしまう。幸い雨はほとんど上がっているのでフロントバック横のポケットに忍ばせてあるチョコレートバーを取り出してかじりながら走る。

大野からは小さな峠を越えるため少し上ってトンネルを越える。九頭竜川の流れの通りに勝山市方面に行っても福井市には出ることができるが、こちらの国道158号線のほうが北緯36度線に近く、距離も若干短い。

車の交通量が多く排気ガスだらけのトンネルを抜けると再び谷が狭まり川沿いの細い道になった。小さいとはいえ峠を越えたため別の川(羽生川)沿いに出たことを実感する。

再び雨が降ってきた。時間とともにどんどん雨量は多くなってくる。悪天候の上日没が近くなりますます暗くなってきた。道路の凍結防止のための湯が出る穴と増える一方の車をかなり気にしながら走る。

永平寺方面への分かれ道を未練もなくパスし、標識に従い福井市内へ向かう。この付近からは地図にはないバイパスができているようで、本来は羽生川沿いにくねくね行くところをバイパスは少し高いところに上った後、山に掘られたトンネルと谷にかかる橋を交互に繰り返しながら車の流れに従って直進的に走る。高速で走る車の巻き上げる水煙と暗さと眼鏡の水滴があいまってトンネルの入り口などの路肩の縁石に危なく突っ込みそうなことがあってひやりとした。

福井婦人青年会館YH 18:20着
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バイパスは谷を抜け福井市のある平野に出た。行けども行けども景色変化のない田園地帯をずうっと福井市内に向かう。雨は容赦なく降り続き、こうなると衣服の方はどうでもいいやという状態。ずいぶん走ってやっと福井市内に入ってきた。地図で確認する暇もなくひたすら市の中心部を目指す。もう完全に日は落ちているが、その代わりに町の明かりが強くなってきた。とにかく今日お世話になるYHは福井市の官庁街にあるはずだ。

地元の人に駅への道を尋ね、公園や役所が集まる一角に到着した。相変わらずいい加減なYHハンドブックの地図を頼りに探し回るがそれらしい看板が見あたらない。同じとことをぐるぐる回って駐車場のおじさんに尋ねてやっと到着。何度も前を通った建物が福井婦人青年会館YHだった。

歩く度にクツをグジョグジョ言わせながらフロントに向かいチェックインを行う。なんかいい加減なおじさんが出てきて意外と高い宿泊料金を払わされた。部屋で落ちついて確認するとYHハンドブックより1000円以上高い。フロントに戻って確認すると今日の泊まり客は私1人だけなので部屋代が高いのだと言う。それはおかしいと文句を言うと、これから予定外の泊まり客が来れば払い戻す言う。納得できないので帰宅したら協会に確認するかと思いその場は引き下がって部屋戻ると、フロントから電話があって確認したらやっぱり間違っていたとのこと。「当たり前だろ。まったく。」と独り言を言いながら受話器を置いた。

着ている物だけでなくしっかりしたザックカバーをかぶせて安心しきっていたフロントバックの中身もバックの脇のちょっとした隙間から雨水が浸入したのかの中身まで一部しみ込んでいる。衣類を部屋中に掛け、全ての地図を広げて乾かす。

一瞬小雨になった間をついて2階の部屋の窓から見えるコンビニエンスストアーで明日の朝食と夕食を調達する。予定では福井の夜は海の幸を肴にクーッとビールのはずだったのであるが、こんな濡れネズミ状態ではどうしようもない。

夜遅くなるにつれ、どんどん雨はきつくなってくる。完全に暴風雨状態だ。北緯36度線の旅も最後の越前岬を目前に終わらなければならないのかと思いながら、床についた。

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