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今日は今回の旅のメイン、中津川林道の走破である。早めに起きて朝食を済ませ清算時に民宿の主人に昼食の調達できる場所の情報を仕入れる。今日は晴れているので快適な走りになりそうだ。 T字路を右に曲がり、中津川方面に向かう。途中の商店で昼食の調達を試みるが、まだ朝早いのでパンなどはなかった。 |
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渓谷に入った頃からぽつぽつと雨の粒が落ちてきた。日差しが届かないのは深い谷に入り込んだせいだけではなさそうだ。 中津川の集落にはいると沿道に少し民家が現れた。バス停を見るとまだ先までバスが行っているようなのでずんずん入って行くと警察の駐在所の脇で終点であった。 中津川の集落にも商店等はないのかと愕然とし、さっき通りすぎた何か食べ物の看板が出ていた所に戻る。中津いもやこんにゃくなど、地元で取れるものを食べさせてくれる店。と言うよりいろりを囲んだ小屋だ。おもに川に釣りに訪れた客相手が商売の髭モジャの主人に話を聞くと、この辺には一切商店等はないとのこと。こんにゃくのおでんをその場で食べ、中津芋を二つ包んでもらう。ここはモーターバイクのオフローダーもよく訪れるそうで、何人かの著名人の名を上げていた。自転車の著名人はまだ来たことがないと言っていたが、そんな人がいるのであろうか。 先ほど引き換えしたバス停を過ぎると、ほどなく舗装が切れダートコースになる。あまり天候がさえないが、水たまりの少し残る踏み固められた道を快調に走る。いよいよ本格的な林道に入ったわけだ。 |
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分岐点の先に中津川を横切る橋がかかっている。橋の欄干に自転車を立てかけて小休止。まだ本格的では無い紅葉をバックに写真を取る。 |
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道よりかなり下を流れていた中津川が、だんだん道と同じ高さに迫ってきた。川幅も狭くなり、上流にせまってきたわけだ。それにつれかなり勾配がきつくなってきた。 |
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かなり疲労がたまってきたので、道と河原の境目で腰を下ろし昼食にする。ひえた中津いもはあまり喉を通らなかったが、なんとか飲みこんだ。さすが有名なオフロードコースだけあって、昼食をとっている間にもモーターバイクのオフローダー何台かが手をあげ通りすぎた。 ここから道は川からそれてくねくね道となって峠に向かう。押したり乗ったりをくりかえし標高を上げて行く。だんだん気温が低くなってきて、休憩していると汗にぬれたシャツが冷たく感じられる。 |
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紅葉の素晴らしい木々がもやにかこまれて素晴らしい立体感をかもしだしている。小休止がてらに自転車を入れて写真を撮る。 |
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| 中津川林道の終点埼玉県と長野県の県境に位置する三国峠 |
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最後の短い急勾配を登ってついに三国峠だ。ここから先は長野県。埼玉県との県境を越える唯一の三国峠は北緯36度線のほんの少し北に位置する。地元埼玉県人としても、昔から是非来てみたかった場所である。自転車雑誌等で見覚えのある峠の看板を背に何度もセルフタイマーで写真を撮る。時間がたつに連れ、斑模様の紅葉の木々が、もやに覆われて見えなくなってきた。 舗装されている長野県側の看板を見ると標高の表記が埼玉県側と100m程違う。どちらが本当なのだろうか。腕時計についている高度計では埼玉県側の1,720mhの方が近いが気圧によってずいぶん変化するのでこれも当てにはならない。 |
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もやの中、舗装の峠道を快適に下る。長野県側は深い森の中であった埼玉県側と大きく違い、高原のイメージで、すぐに農地の中を走る道となる。峠のこちら側だけが舗装されているのは単に県の方針が違うだけではなく、農家や林業の人の生活で使われる道だからというのが理由のようだ。 千曲川の源流沿いにだらだら下るとだんだん町が開けてきた。道沿いにあるマーケットで忘れてきた軍手や軽食を購入し、腹を満たし小休止しする。 近くの電話ボックスで清里YHに泊まるべく電話をする。清里はドライブや鉄道で何度か行ったことがあるが、自転車では初めてである。現在北緯36度線の少し北を走っているが野辺山高原に登って北緯36度線を越えて山梨県に入るわけだ。 |
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快調に下ってきた川沿いの道と別れ、高原への登りが始まる。高原を登るために迂回する小海線沿いを走って野辺山高原駅付近に出た。あたりははずいぶん暗くなってきたが、ここから山梨との県境であるを越えて清里に下るだけだ。 |
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5万分の1地形図では山梨県側の道はくねくね曲がっているはずであるが、暗闇の中、標識に従って交通量の多い国道をいくら行ってもまっすぐ走りやすい道が続く。かれこれ10年以上前に購入した地形図のため記述されていないバイパス等が出来ているようだ。 下りの途中で橋を渡って、小海線の踏切を横切ると、もう清里の町だ。リカちゃんハウスのようなメルヘンチックな建物が並んでいるので暗闇の中でもすぐわかる。YHは国道から数十メートル入った所にあり、すぐにわかった。へとへとになって宿泊手続きを済ます。こんなに町の中心部に位置するYHはめずらしく、それもあってか、泊まり客のほとんどがおばさんでありました。 |