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成田の上空は曇っているようだ。もしかしたら雨が降っているのかも知れない。 何事もなく、すんなりと入国審査を終え、自転車を受け取り、カートに乗せて、税関を通り、到着ロビーに出た。 |
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例によってカートに自転車を積んだまま成田空港駅の切符売り場まで来て、切符を購入。帰路は時間に余裕があるので、快速列車で十分だ。改札を通り抜け、ホームに降りる直前で、カートを放棄する。これより先はカートは使用できないのだ。 ホームの売店で、スポーツドリンクと新聞を買い込み、入線してきた総武線快速列車に乗り込む。乗客の少ない列車は程なく出発した。地下を抜けて、地上に出ると、雨が降っているのが目に入った。 |
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途中からうとうとしていると、快速列車は東京地下駅に到着。往路はこの地下駅から成田エクスプレスに乗ったわけだなどと考えながら、列車を降りる。 エスカレーターで中央線ホームに上がり、すでに到着している始発に腰掛けると、すぐに出発。地下駅から、高いところにある中央線のホームまで、とてもスムーズに上がって来ることができた。 |
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吉祥寺駅で中央線を下車すると、雨はやんでいるどころか、どんどん降っている。待っていてもどうにもならないので、自転車を組み立てはじめる。キャリアは壊れた状態であるが、何とかなるかも知れないと、力を入れて、ごりごりやっている内に、致命的な状態になってしまった。ダブリンの空港までたどり着いた状態よりひどくなってしまったが、どちらにしても、修理は必要なので、大した問題ではない。とりえず、自宅に戻ることができればだが。 荷物を何とかサドルにぶら下げる形で、キャリアに負担をかけないようにセットし、ポンチョを被って吉祥寺駅を出発。アイルランドでは一度も使うことがなかったポンチョを、ここで使わなければならないというのは、持ってきて良かったと考えると嬉しいような気もするし、結局目的地で使わなかったのに持ち歩いていたと考えると悲しい。 |
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自宅は勤務先のオフィスに近い。そのオフィスは吉祥寺駅から自宅へ向かう間にある。今日は平日なので、当然オフィスはオープンしている。雨宿りを兼ねて、オフィスに寄ってみることにし、会社の建物の自転車置き場に自転車を止め、雨を避けるためにポンチョを被せる。荷物を持ち、そっとオフィスに入り、目立たないように腰掛けて、電子メールのチェックなどしていると、上司が「あれ?」と言って私に気が付いた。私は一言「無事帰ってきました。」とぼそっと告げる。 土産を置いて、荷物を担いでオフィスを出発。まだアイルランドサイクリングは終わっていない。まだ雨が降っているが、ここからは近いので、少々重量の減った荷物は自転車の荷台には付けず、ショルダーベルトを肩に掛け、背負って、走りはじめる。 |
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やっと自宅に到着。明日から出勤である。ここから数日間、忙しくて帰宅も遅くなり、時差と旅の疲労がずっと解消できず、とても辛い一週間を送ることになった。 |