アイルランドサイクリング

アイルランドサイクリング 詳細
1998年5月24日 日曜日 ダブリンで自転車盗難という最悪の一日


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走行ルート
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Finnegans Holiday HostelTralee駅Mallow駅Dublin Heuston駅Dublin国際YH
天候
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晴れのちくもり時々雨
宿泊先
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Dublin国際YH
走行データ
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走行距離:20km
支払い
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IE運賃(Tralee駅⇒Dublin Heuston駅)IR£31.00
コーヒーIR£0.65
Dublin国際YH宿泊費(朝食付き)IR£9.50
Dublin国際YHシーツレンタル代IR£1.50
缶ジュースIR£0.50
自転車レンタル代IR£6.00
自転車レンタルデポジット金IR£30.00
自転車発見のお礼IR£20.00
自転車レンタルデポジット金返却IR£-30.00
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Finnegans Holiday Hostel 07:16発
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朝早く起きて、出発の準備をしていると、教授も起きてきて、出発の準備をしている。私はこれから朝食を食べてから行くというと、彼は歩きなのでと言い、一足先に出発していった。

朝食を作りながら、ランチのサンドイッチを作る。電気コンロがなかなか暖まらずいらいらする。調理していると、若い白人男性がキッチンに入ってきて、なにやら私に向かって、しゃべっている。私が聞き取れないので、何度も言い直してもらったが、どう聞いても聞き取れない。英語ではないのかも知れないが、彼も何度も別の言い方をしているが、全く解らない。なんとなく、人の名前を連呼しているので、人捜しをしているのかも知れないが、身振りも手振りもなく、表情も全然変えずに棒読みしているようなしゃべり方で、少々気味が悪かった。

Tralee駅 07:20着 07:30発
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自転車に荷物を積んで、ホステルを出て、昨日、駅の場所を確認していたので、駅にはあっと言う間に到着。窓口でダブリンまでの切符を購入し、自転車と共にホームに入る。到着している列車の荷物車に自転車を押し込んで、何両かある客車を通路を歩いていると、教授がいた。

ほとんど乗客のいない列車の中、彼と向かい合わせの席に座り、話をしているうちに、列車はトラリー駅を出発した。話に夢中になっていると、すぐにキラーニーの駅に到着。一週間前に見かけた駅周辺の景色が懐かしい。

Mallow駅 09:09着 09:15発
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Mallow駅で乗り換えるため下車s5tr
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Mallow駅で乗り換えるため下車
Dublin Heuston駅行き列車の入線s5tr
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Dublin Heuston駅行き列車の入線

一生懸命英語で話をしていると、時間が経つのは早い。あっと言う間に、マーロウ駅に到着。この駅でコーク方面からダブリン行く列車に乗り換えるのだ。

自転車を荷物車から降ろして待っていると、数分でダブリン・ヒューストン駅行きの列車が到着。停車時間は短い。荷物を置いて、荷物車の方に向かって、自転車を転がして、大急ぎで荷物車に放り込み、荷物の置いてあるところに戻ろうとすると、教授が気を利かせて、私の荷物を客車に運び入れてくれていた。後から乗り込んで、2人分の座席をぎりぎり確保。今度の列車はさすがに込んでいる。

ふたたび夢中になって、教授と話し込む。お互いタバコを吸わないことで意気投合し、米国の銃規制の問題や、戦争のことまで話し合う。英語でこんなに難しい話をしたのは初めてだ。彼は、学識が高いので、私のむちゃくちゃな英語も自ら補足して理解してくれるし、私になるべく通じる英語を話してくれる。とても話しやすい。

Dublin Heuston駅 11:30着 12:05発
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Dublin Heuston駅でお別れs5tr
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Dublin Heuston駅でお別れ
中心部O'Connell通りs5tr
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中心部O'Connell通り

終点のダブリン・ヒューストン駅に到着。乗客全員が下車するので、狭いホームは人であふれている。人がまばらになった頃、やっと自転車を荷物車から降ろして、移動を開始する。

彼は、ダブリンの中心部にあるホリデー・ホステルに泊まるとのことだった。私は、国際YHに泊まる予定で、とりあえず荷物を置くためにチェックインしてから市内観光する予定だと言うと、同じ宿ではないためか残念がっていた。駅構内で、記念写真を撮って別れる。

Dublin国際YH 12:53着 16:55発
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エンターテイメントの看板s5tr
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エンターテイメントの看板
アーティスト?の看板s5tr
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アーティスト?の看板

リフィー川に沿って走り、ダブリンの中心部、オコンネル通りまで出て、ダニエル・オコンネルの像の前で記念撮影を取り、YHの有る方向に向かう。なかなかわかりにくい道だ。

ぱっとしない街の一角にYHを見つけた。道に面した扉は閉まっているし、この時間は開いていないのかと思えるほどひっそりとしている。とりあえず、チェックインをと思いドアを開けようとすると開かない。なにやら、ベルを押すようにとなっているので、押してみるとドアのロックが開く音がする。たいそうなセキュリティーだなと思いつつ、カウンターでチェックインを済ませ、自転車の置き場を確認すると、裏の駐車場に入って自転車置き場へとのこと。裏の駐車場に入るには、わざわざデポジットを払って鍵を借りねばならないとのことだ。

YHの正面に止めてある自転車から荷物を外し、部屋に向かおうとするが、中は迷路。チェックインで受け取ったカードキーがないと、廊下にも入れない状態。結局やっとの思いで4階の部屋に荷物を置き、トイレを探すとこれまた見つからず、外に出るまでに意外と時間がかかった。ちょっとの間だからと鍵をかけなかった自転車が心配だなと思ったら、悪い予感的中。自転車が無い。盗まれた。パニック状態になりつつも、YHの中に入って、ロビーにいる人に聞いて回るが、「盗られたの?」と同情してくれるだけで情報は無し。YHの人に警察に連絡してもらい、警察官が10分で来ると言うが、なかなか来ない。YHの外にたむろしていた子供たちに知らないかと聞くと、今来たばかりなので知らないとのことだった。確かに、私がYHに到着したときには、誰もいなかった。YHの人も言っていたが、よく周囲を見回すと、この付近は他の場所に比べて確かに治安の悪そうな区画だ。YHのセキュリティー度もそれを物語っている。いきなり到着して、そのような判断が全くできていなかったことを反省しても今更遅い。

YHの外にはテレビカメラが着いていて、カウンターで監視している。私が自転車を止めたのは、ちょうど死角になっている側だが、自転車を盗んだ犯人が、カメラの映る範囲を通った可能性もあるなと思い、YHの人にビデオ録画されていないかを確認する。すでにチェックしたとのことだった。そして、やっと到着した若い警察官に事情を話し、車輪が小さく、変わった形をしている自転車であることなどを話す。ちょうど写真を持ち合わせていたので、それを見てもらう。

YHで所有しているレンタサイクルを借りるべく、担当者と一緒に裏庭に向かう。YHの人に駐輪場として教わったところだ。レンタサイクルがたくさん詰まった納屋から1台をとり出して、点検などしてくれている間に、たくさん書き込む項目のある書類を渡されたので、ため息を付きながら、書き込む。あんまり落ち込んでいるので、彼は、慰めの声をかけてくれた。£30のデポジットと合わせて、£36を支払い自転車を受け取る。

自転車を受け取ってから、クレジットカード会社に連絡を取る。公衆電話の使い方が解らず、ずいぶん苦労する。なんとかクレジットカードでかける方法が解った。しかし、KDDを経由してクレジットカード会社の通話料無料のヘルプデスクへいくらかけても繋がらない。もしかしたら、夜間はやっていないのだろうか。24時間対応のフリーダイヤルもあるが、これは海外からは利用できない。KDDの日本語窓口であるジャパンダイレクトのオペレーター経由で繋いでもらおうとしても、相手は出ないとのこと。

今は深夜である日本の実家に電話をして、まだ起きていた兄に、フリーダイヤルで連絡を取ってもらい、連絡方法を聞いてもらうようにお願いする。数分経ってからかけ直すと、最初にかけた電話番号で繋がるとのこと。もう一度しつこくかけたら、今度は繋がった。保険の担当者に自転車が盗難にあったことを告げると、自転車ですか・・・と、保険が利かないようなことを言っている。自動車の盗難は明らかに対象外だとのこと。ちょっと止めた間に盗まれたことと、日本から持っていった私の携行品であることをはっきり告げると、それなら、盗難保険が適用されるとのこと。ほっとした。どうすればよいかたずねると、まず地元の警察署で盗難証明をもらい、帰国してすぐにまた連絡するようにとのこと。早速、地元の警察署に行くことにする。

Mountjoy警察署 17:00着 17:15発
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まるでカンバスのような工事現場の壁s5tr
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まるでカンバスのような工事現場の壁
一時お世話になったレンタサイクルs5tr
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一時お世話になったレンタサイクル

YHの人に教えられた通りを行ったり来たりしながら、やっと警察を発見。警察といっても、特別な建物でも何でもなく、普通の建物に「GARDA」と書かれた小さな看板が出ているだけだ。自転車を入り口の階段の上まで持って上がり、ドアの内側から見えるような位置に置く。盗難に関して、かなり神経質になっている。小さなカウンター越しに、年輩のお巡りさんに、自転車を盗まれて、若いお巡りさんに来てもらったことなどを話して、盗難証明書を書いてもらう。盗難証明書と言っても、警察署の名前の入ったレポート用紙に、だらだらと盗まれたことを書いて、担当者がサインをして、スタンプを押すだけだ。盗まれた物として、自転車本体,ガイドブック,サイクルコンピュータ,スポーツウオッチなどを書いてもらう。サイクルコンピュータと言ったら、お巡りさんは、コンピュータまで盗まれたのかと、びっくりしていたが、こんな小さいスピードメーターだと説明すると納得してくれた。

警察署を出て、愛車を求めて近所をうろうろする。あまり交通量の多い道ではないので、犯人はこの付近の人かと思ったり、高級車が目当てで有れば、出てくるのは難しいだろうなどと思いつつ、捜索範囲を広げ、ダブリン市内をぐるぐる探し回る。まあ、旅行保険があるので、所持品の盗難は保証されるが、旅の友を失うのは辛い。などと思いながら。

Dublin国際YH 18:30着 20:30発
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一度YHに戻ってくると、さっきの子供たちが、声をかけてきて、見つけたと言っている。どこにあるか聞くと、金をくれという。見つけたらお礼するぞと言っていたし、みんなで見つけたというので、£20札を渡そうとしたのだが、ずいぶん高くふっかけているようで、受け取らない。ほんとうに有るのかと言うと、私の自転車に付いていたサイクルコンピュータをどこからか出してきて、これが見つけた証拠だと言っている。しまいには「ジャンキーが持っているので、大金を払わないと返してくれないぞ。」というようなことを言いはじめ、挙げ句の果てには、「蹴飛ばして壊されるぞ。」と私を脅かしはじめた。最初は見つけてくれて助かったと思ったが、こうなると、このガキどもも信用できないし、エスカレートしないとも限らないので、YHに戻り、とにかく警察に連絡してもらい、警察官を待つことにした。警察官を待つ間、YH内で待っていると、さっきのガキどもが宿泊客に紛れて入ってきたので、外で待っていてくれと言い、外へ追い出した。

警察官が到着したので、事情を話し、一緒にガキどもの所に行くと、ガキども全く動じず「そんなこと知らない」ようなことを警察官に話している。警察官も若いのでなめられているのか、詰め寄っても、進展無し。サイクルコンピュータを持っていたじゃないかと言っても、知らん顔である。若い警察官は諦めて、周辺を探すとのことで去っていった。ここまできたらもう出てくるだろうとYHの前で待っていると、通りを挟んでガキどもがなにやら叫んでいる。無視していると、他の宿泊者が、危ないから建物の中に入るようにと言うので、やっぱりやばい脅しの言葉を叫んでいるのだなと察した。

数十分後に、ドアの外でざわめきが起こり、私の自転車が運ばれてきた。さっきのガキとは違う、もっと小さな子供2人とその両親と思われる人たちが雨の中運んできてくれたのだ。地図ケースに取り付けてあったガイドブックや、ハンドル付近に取り付けてあったスポーツウォッチは無くなっているが、とりあえず自転車は無事なようだ。この子供たちが見つけたというようなことを言っているので、お礼を言って、どこで見つけたのか問うと、公園で見つけたという。確かに、タイヤには芝生が付着している。親はどこか聞くと指さすので、親に見えるように子供に£20札を1枚渡すと、母親と思われる女性は親指を付きだして、ニコッとした。£20がお礼として適正なのかどうか解らないが、親の態度からすると問題ないのだろう。

その後、脱力感に包まれ、ロビーでボーとしていると、YH前のガキの母親と思われる女性がたばこをくわえながらYHに入ってきて、この自転車は何ポンドするのか私に問いかけた。正確には解らないと言うと、ぶつぶつ言いながら出ていった。落ち着いて考えると、YH前にいたガキどもと、見つけてくれたという子供たちの関係がよくわからない。何故、ガキどもが持っていたサイクルコンピュータが戻ってきているのかなども含めて謎が深まる。

愛車を安全なところに置いて、警察署へ行って書類を書き換えてもらうべく、レンタサイクルで出発。道を挟んだ所にいるガキどもが例によって何か叫んでいるが、何を言っているのか解らないので無視する。

Mountjoy警察署 21:05着 21:10発
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警察署に行くと、自転車が戻ってきたことは知らなかったらしく驚いていた。私は、てっきり若い警察官が子供たちが持っているところを見つけてくれて、YHに届けるように言ってくれたのかと思っていたが、そうではないのだろうか。戻ってきた物、戻ってこなかった物を盗犯証明書に明記してもらう。これで一件落着と思いほっとしたのと、疲れたので、ふらふらしながらYHへ戻る。

Dublin国際YH 21:23着
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YHに戻ってくると、例のガキどもは気が付かなかったのか、今度は静かだった。部屋に戻ると、確かベッドの上に置いてあった、シーツが無くなっている。部屋にはカードキーがないと入れないので、同じ部屋の人に聞いて見ると、「どこに置いてあったの?」と聞くので、自分のベッド上だと答えると、それなら知らないとのこと。もしかしたら、別なベッドの上に置きっぱなしにしていて、そのまま部屋を出てしまったのだろうか。そのときは、とても疲れていたので、詳細には思い出せない。まあ、シーツが無くても寝ることぐらいはできるかと、諦める。

ふと思い出すと、夕食がまだだ。疲れていてあまり食べる気がしないが、余り物を持っているので、地下の食堂に行って食べることにする。例によって迷路のような所を通り、自炊のできるキッチンがある食堂に行くと、薄暗い部屋の中、何人かが食事をしている。キッチンでお湯を沸かして、紅茶を入れて、あり合わせの物を食べていると、英国人のおじさんが声をかけてきた。彼の名前は、マイケル・ジャクソン。私がびっくりすると、どこにでも有る名前だという。それはそうだ。私が日本人だというと、日本には滞在したことがあり、何とか言う女の人にお世話になっていたとのこと。世話になった代わりに英語を教えてやったという。彼は、家具の本を書いている人で、手伝ってくれたら、その本の日本での版権をあげるという様なことを言っている。なんだか変な英国人だ。

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