リフィー川に沿って走り、ダブリンの中心部、オコンネル通りまで出て、ダニエル・オコンネルの像の前で記念撮影を取り、YHの有る方向に向かう。なかなかわかりにくい道だ。
ぱっとしない街の一角にYHを見つけた。道に面した扉は閉まっているし、この時間は開いていないのかと思えるほどひっそりとしている。とりあえず、チェックインをと思いドアを開けようとすると開かない。なにやら、ベルを押すようにとなっているので、押してみるとドアのロックが開く音がする。たいそうなセキュリティーだなと思いつつ、カウンターでチェックインを済ませ、自転車の置き場を確認すると、裏の駐車場に入って自転車置き場へとのこと。裏の駐車場に入るには、わざわざデポジットを払って鍵を借りねばならないとのことだ。
YHの正面に止めてある自転車から荷物を外し、部屋に向かおうとするが、中は迷路。チェックインで受け取ったカードキーがないと、廊下にも入れない状態。結局やっとの思いで4階の部屋に荷物を置き、トイレを探すとこれまた見つからず、外に出るまでに意外と時間がかかった。ちょっとの間だからと鍵をかけなかった自転車が心配だなと思ったら、悪い予感的中。自転車が無い。盗まれた。パニック状態になりつつも、YHの中に入って、ロビーにいる人に聞いて回るが、「盗られたの?」と同情してくれるだけで情報は無し。YHの人に警察に連絡してもらい、警察官が10分で来ると言うが、なかなか来ない。YHの外にたむろしていた子供たちに知らないかと聞くと、今来たばかりなので知らないとのことだった。確かに、私がYHに到着したときには、誰もいなかった。YHの人も言っていたが、よく周囲を見回すと、この付近は他の場所に比べて確かに治安の悪そうな区画だ。YHのセキュリティー度もそれを物語っている。いきなり到着して、そのような判断が全くできていなかったことを反省しても今更遅い。
YHの外にはテレビカメラが着いていて、カウンターで監視している。私が自転車を止めたのは、ちょうど死角になっている側だが、自転車を盗んだ犯人が、カメラの映る範囲を通った可能性もあるなと思い、YHの人にビデオ録画されていないかを確認する。すでにチェックしたとのことだった。そして、やっと到着した若い警察官に事情を話し、車輪が小さく、変わった形をしている自転車であることなどを話す。ちょうど写真を持ち合わせていたので、それを見てもらう。
YHで所有しているレンタサイクルを借りるべく、担当者と一緒に裏庭に向かう。YHの人に駐輪場として教わったところだ。レンタサイクルがたくさん詰まった納屋から1台をとり出して、点検などしてくれている間に、たくさん書き込む項目のある書類を渡されたので、ため息を付きながら、書き込む。あんまり落ち込んでいるので、彼は、慰めの声をかけてくれた。£30のデポジットと合わせて、£36を支払い自転車を受け取る。
自転車を受け取ってから、クレジットカード会社に連絡を取る。公衆電話の使い方が解らず、ずいぶん苦労する。なんとかクレジットカードでかける方法が解った。しかし、KDDを経由してクレジットカード会社の通話料無料のヘルプデスクへいくらかけても繋がらない。もしかしたら、夜間はやっていないのだろうか。24時間対応のフリーダイヤルもあるが、これは海外からは利用できない。KDDの日本語窓口であるジャパンダイレクトのオペレーター経由で繋いでもらおうとしても、相手は出ないとのこと。
今は深夜である日本の実家に電話をして、まだ起きていた兄に、フリーダイヤルで連絡を取ってもらい、連絡方法を聞いてもらうようにお願いする。数分経ってからかけ直すと、最初にかけた電話番号で繋がるとのこと。もう一度しつこくかけたら、今度は繋がった。保険の担当者に自転車が盗難にあったことを告げると、自転車ですか・・・と、保険が利かないようなことを言っている。自動車の盗難は明らかに対象外だとのこと。ちょっと止めた間に盗まれたことと、日本から持っていった私の携行品であることをはっきり告げると、それなら、盗難保険が適用されるとのこと。ほっとした。どうすればよいかたずねると、まず地元の警察署で盗難証明をもらい、帰国してすぐにまた連絡するようにとのこと。早速、地元の警察署に行くことにする。