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朝起きて、1階のレストランに降りて朝食。卵料理のスタイルを尋ねられるので、適当に頼むと、豪華に卵2個を使った目玉焼きが出てきた。飲み物や、トーストなどのパン類、果物などの他の食べ物は、ビュッフェ形式なので自分で取りに行く。どれも質はたいしたことはないが、とてもリッチな朝食だ。 窓の外は、せまい砂浜があり、その先はすぐに青い海というロケーション。昨日の天候と違い、どんよりと曇っている。魚釣りをしている人をぼーっと見ながら、今日はどうするか考える。 部屋に戻り、共用部にあるテレビを付けると、CNNニュースのチャンネルで、ライブ中継している。緊張の高まるイラクの様子だ。ここ数日続いている空爆の結果、ついにバグダッドに米国軍の戦車が入り、バグダッド陥落ということのようだ。歴史的瞬間なのだろうと、時間を忘れてみていると、その後、戦車がフセインの像に縄をかけて引き倒してそれにバグダッドの市民がまたがっている様子などが流れる。 |
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午後になって、ずいぶん天候が回復してきたので、とにかくバラデロ半島を一通り廻ってみようとひたすら西に向かってみる。昨日、バラデロ半島に入ってきた当たりを通り過ぎ、ずっと行くと、どん詰まりに高級リゾートがあり、そこで折り返すことになる。 |
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細長いバラデロ半島の西端で折り返し、できるだけ道と違う道を走って東に戻る。泊まっているホテルの近くで、バス・ターミナルのあるあたりの海岸線の道を走り、ひたすら東に向かう。大きなホテルが見え、なお、広い土地を整地して、どんどんホテルなどのリゾート施設を建てているようだ。昨日、空きのない宿泊施設が多かったとおり、まだまだ観光客の需要があるのだろう。海外からの観光客を誘致して、外貨獲得に拍車がかかるわけだ。 |
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半島のかなり東端あたりに達すると、さすがに巨大ホテルは無くなり、少々寂しくなってくる。半島北面にあるカラベラス??・ビーチへ向かうために、直角に北方向に進路を変えると、フェンスがあり、この先は自然保護エリアのようだ。 |
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砂のかぶった舗装路をどんどん走ってゆくと、木陰に人がいて、この先の自然保護区に入る場合は、3ドルを支払うことになる。徴収されたお金は自然保護のために使われるようだ。巨大なリゾート開発をやっているのを目にしてきたが、美しいビーチなどの自然が有っての観光だ。この美しいビーチを、しっかり維持してもらいたい。 |
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お金を払ったすぐ先から、道はほとんど未舗装になり、砂地の上を走っているようになる。すぐに、右側にごわごわした大きな木が目に入る。これはサボテンで、キューバでは最大だそうだ。 この先、本当に何もないビーチが続いている。あまりにも何もないので、手前に戻って、木陰に自転車を置いてビーチを歩いてゆくと、茅葺き屋根の??がぽつぽつと有り、少数のグループがいる程度。泊まっているホテル前のビーチとは、様子がずいぶん違い、とても静かだ。 遠くに行き交う船を見たりして、30分ほどぼーっとすごして、来た道を引き返すことにする。半島の南側の道を走ってゆくと、キューバ本島の陸地が近づいてきて、挟まれた部分は、ラグーン(干潟)のような状況になっている。ビーチのある北側とは違った光景である。 |
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ホテルのある中心部に、半分ぐらい戻ったところに、マンション・ザナドゥと呼ばれる施設があるので、寄ってみる。これは、ガイドブックなどでは、大企業のデュポンの別荘ということで、紹介されているところで、革命時に資本家が追い出された際に、当然建物までは持って逃げられなかったので、そのまま革命政府の所有になったようだ。興味があったので、時間があったら寄ってみたいと思っていた。 地図を見ても、実際に来てみても、デュポンとは一言も書いていなし、本当に元デュポンの別荘なのか自信がなかったが、建物の様子を見る限り、間違いないようだ。 建物内部にはレストランやバーが有り、特に入場料などはかからないようだ。入ってみて、噂に聞くとおり、世界中の最高級の資材を集めて作ったという建物であることがわかる。テーブルや椅子などの調度品はもちろん、階段の手すり、入口の飾り、天井の梁の木材は、重厚感があり、黒光りしていて、建築関係は素人の私でも、高級な作りであることがよくわかる。 三階のバーなどを覗くなどして、一通り見て回ったあげく、建物の外に出ると、すぐ下には青い海があり、ロケーションも超一流だ。建物の反対側には、小さなゴルフコースなどもある。 建物に戻って、一階中央のレストランで遅い昼食とする。こんな時間なので、他には客が皆無で1人で寂しい食事だが、大きく海方向に明け放れた入口からは、海からの風と、波の音が入り込み、なんとも不思議にリッチな気分に浸る一時である。 お皿や、ナイフやフォークの食器も、この別荘の物をそのまま使っているのか、建物のエンブレムが刻まれている。デュポンの社長は、これらのお屋敷などの資産を残して、キューバを離れなければならなかったことを、さぞ悔しがったことだろう。 食事を終え、ザナドゥを後にして、バラデロの中心部に戻る。 |
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リゾート・ホテル群の沢山ある場所を通り過ぎ、昔から有るバラデロの町並みに入ると、珍しく教会が目に入った。聖エルビラ??教会だ。共産主義政権だからか、キューバに来て、あまり教会は見かけなかったし、有ったとしても、スペイン統治時代の廃墟だったりしていた。 ここバラデロは外国からのキリスト教の観光客が多いからか、建物は地味だが、めずらしく教会に人が出入りして、生き生きしている感じだ。 |
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昼間だいぶ晴れ間が見えたのもつかの間、時間と共に雲がどんどん増えてきて、もうすぐ泣き出しそうな気配だ。ホテルに着く頃には、雨雲が周囲を覆い、まだこんな時間なのに薄暗くなっていて、今にも泣き出しそうな気配。ビーチにはほとんど人気がない。 部屋に落ち着いて、一部の衣類を手洗いして、干して、歩いて食事に出る。 歩道を歩いていると、私と同じ自転車、ブロンプトンを持っている人に出会った。思わず声をかけて、私も乗っていて、ハバナから走ってきたということを告げ、嬉しくて一方的に話しかける。地元の人のようだが、観光客から譲ってもらったとのことだった。その人も得意げに畳んで見せてくれるが、どうもおかしい。ブレーキワイヤーが誤った位置になっているようで、正しく畳めないのだ。私が、これは間違っているが、付け替えたのかと聞くと、修理してもらったという。きっとワイヤーが切れるなどして交換した際に、修理した人が間違えたのだろう。完成車の状態だと、一見、不自然なワイヤーの取り回しになるので、折り畳んで確認しない限り、誤った状態になるのも無理がない。歩いて外に出たので、その場で私の愛車を見せて、こうなるのが正しいということも説明出来ず、工具もないので、ワイヤーの取り回しを変更することも出来ず、小雨の降ってくる中、嬉しいやら悲しいやらの状況だった。 結局、うろうろして後、夕食は比較的近くの鳥料理専門のレストランに行くことにする。店はとてもにぎわっていて、例によって1人でぽつねんとテーブルに座っているわけだが、陽気な音楽が流れ、周囲の観光客も陽気で寂しくはない。ブエナ・ビスタ・ソーシャル・クラブのメンバーも来て演奏していたよ。という写真が、店内あちこちに貼られていた。 食事を終え、雨の中ホテルの部屋に戻り、洗濯物をひたすら乾かす。雨はどんどん強くなり、ほとんど嵐のような状態だ。明日は、早朝からバスでトリニダーへ移動なので、支障はないと思うが、こんなに雨が強いと、気が滅入る。 |