|
朝起きて、ベランダに出ると、とても良い景色が広がっていた。海沿いの通りは、マレコン通り。首都に接した海なのに、とても青く美しい。東方面には、観光名所の要塞が見え、西を見ると、ホテルなど、高層建築がいくつも見える。方角的にも、きっとハバナの新市街なのだろう。 メイディスが出てきて、パスポートを見せてくれと言う。なにやら、外国人を泊める宿として登録してあって、どんな人が泊まったているかを役所に届けないといけないらしい。この付近は、海沿いなので、米国に亡命するキューバ人が潜んでいることが多く、警察官も沢山警備している、たまに宿にもチェックが入るが、その時に申請していない人が泊まっていると、かなりマズイそうだ。 今日は、お昼に、ハバナで一番高級なホテル、ナシオナル・デ・クーバで人と待ち合わせている。私と同じく昨日キューバに到着しているはずの、ニカラグアで活動していたボランティア仲間のIさんだ。朝食を食べる場所の当てもないし、Iさんと一緒に昼食を食べることになるので、とにかく、宿を出て、待ち合わせのホテルをめざして、マレコン通りを西方向に走る。 |
|
| Hotel Nacional de Cubaロビーで待ち人来ず |
| | Habanaで一番高級なHotel Nacional de Cuba |
|
| Hotel Nacional de Cuba正面玄関 |
|
|
マレコン通りは、昨晩の遅い時間と違って、交通量が多く、クラッシック・カーも沢山走っている。そういうこともあってか、とても排気ガス臭く、ガソリンをまき散らして走っているような臭さだ。車道と、海との間のしっかりした歩道には、観光客が多く歩いている。それを右側に見ながら、車の流れに会わせて走っていると、ホテルの近くの交差点まで、アッという間に到着した。信号を待って、海を背に左側に入ると、近代的な立派な建物が多いエリアになり、1ブロック進んで、右の路地を登ると、ホテル・ナシオナル・デ・クーバの入口があった。少々ためらいながら、自転車をロビー前で畳んで、ロビーに自転車を引きずって入る。 待ち合わせ時間の11時半を少々過ぎているので、もうIさんは来ている物かとロビーを見回すが、それらしき人はいない。宿泊している観光客が行き交う中、立派なソファーに座って待っているが、待ち人現れず。待ちかねて、ロビーを出て、ホテルの庭を散歩する。海沿いの小高い丘の上にある、このホテルの庭からは、フロリダ海峡の海と、ハバナの旧市街方向が見え、絶好のロケーションだ。 |
|
Iさんとは、とにかくハバナで会おうというだけで、特に他の予定はない。なにかの都合で、待ち合わせ場所に来ることが出来ないだけならよいのだが、事故でもあったのではないかと、心配する。 結局Iさんと会うのは諦めて、地図を買うために、書店を探す。この付近のホテル・ハバナ・リブレの中に、書店があるとの情報を得ている。ベリーズでのボランティア仲間のMさんの職場のキューバに留学している人が、国政選挙のために戻ってきていて、彼から聞いた情報だ。ホテルに入って、尋ねてみると、書店など無いという。とにかく、お腹が空いているので、通りから見ると、2階にあるオープンな感じのレストランで、食事をする。アメリカン・ブレックファストが$10だ。内容的にも大したことがないのに、とても高い感じだ。日本のファミリー・レストランより貧弱な感じのレストランだが、それでもハバナでは高級なホテルの、レストランなのでこの値段なのだろう。US$2.25の水も買い求めて、US$15を渡すが、US$1しかお釣りが戻ってこない。不思議に思いながらも、チップの分だと思い、外に出る。さすがに折り畳み自転車が珍しいのか、レストランの外で組み立てていると、お店の人の何人かの視線が、こちらに向いている。 ホテル・ハバナ・リブレの近くは、にぎやかで人通りが多い。ハバナ大学も近いからだろうか。少々行くと、比較的立派な書店と思える店があったので、入ってみると、立派な学術的な本が沢山売っていた。しかし、地図に関しては、地形図のような詳細な物はなかった。この店で印象的だったのが、文房具がショウ・ウィンドウの中に、一つ一つ並べて置かれていることだ。鉛筆,消しゴム,分度器やコンパスなどの日本でもよく見かける基本的な文房具が、大事に並べてある感じだ。価格は良くわからなかったが、文房具は輸入にでも頼っていて、よっぽど貴重な物なのかと思わせる売方だ。すぐ裏手に、もう一軒、観光土産店なのか、地図が張ってある小さな店があったので入ってみるが、やはりあるのは観光地図のみ。 |
|
キューバは共産主義国でもあり、詳細な国土の情報は国民に公開されていない物と思い、地図探しは諦めて、比較的近いところにある革命広場に向かう。広場の脇の共産党の建物には、英雄チェ・ゲバラの顔が、壁面に大きく描かれている。描かれていると言うより、夜ライトアップされた時に浮き上がるようにセッティングされているのだ。チェ・ゲバラの顔がデフォルメされて、特徴を表しており、デザイン的にも無駄が無く良い感じだ。そして、政治的な英雄をこういった形で表現するのは、共産主義国的である。著名なモニュメントで、キューバに来たことを実感するものであり、しばし見入ってしまった。 革命広場自体は、雑な舗装がしてあるだけのなにもない広場だ。道路に囲まれ、フェンスすらない。道を隔てて、塔のような建物のホセ・マルティ記念館がある。ここで、カストロが演説するときに、多くの国民が集まってきて、この広場を埋め尽くとのことだ。 革命広場でひたすら写真撮影した後、旧市街の方向に向かうべく、メインストリートを走る。途中、大勢の人がバスを待っている光景に出くわす。実際通りには何台ものバスが通りを走っている。ハバナ市内のバスは、通称ラクダバスと呼ばれ、大きな客室の車体をトラックが引っ張っている。そのバスに、あふれんばかりの人が詰め込まれている光景は、日本の通勤時間帯の満員電車やバスの状況を彷彿させる。しかし、こんな中途半端な時間にこんなに多くの人が移動しているのだろう。日本なら、朝夕の通勤時間以外は、乗り物は空いているのだが。 |
|
旧市街の、一番にぎやかな通り、オビスポ通りについた。細い路地に、小さな商店が沢山並んでいるだけだが、観光客や、地元の人で賑わっている。この人通りの多い通りを、自転車を押しながら、歩いていると、Iさんが泊まると言っていた、ホテル・アンボス・ムンドスがあった。このホテルは、アーネスト・ヘミングウェイの常宿だったことで有名で、一角が博物館も兼ねていて、観光名所のようだ。自転車を畳んで、フロントにゆき、Iさんが泊まっていないか確認するが、日本人の名前はあるようだが、Iさんは泊まっていないとのこと。諦めて、周辺をうろうろすることにする。 古い街並みの中を歩いていると、人だかりがしていて、中を覗くと、ラテン・アメリカ各国の民族舞踊を披露している。メキシコから来た子供達の踊りとか、なかなかレベルが高く、まとっている衣装だけでも見るに値する。自転車にまたがって見物していると、警察官と目が合い、人差し指と中指を下に向けて、指を動かす。この付近は、石畳で全体が車両進入不可だから、自転車も押して歩けというサインだ。すぐに気が付いて、自転車を押して、その場を離れる。この付近は、古い建物や、お城のような建物があって、観光客が多く、ちょっとした広場に行くと、楽器を持ったマリアッチが、音楽を奏でている。 |
|
フロリダ海峡と、ハバナ湾を結ぶ水道沿いに、宿のあるマレコン通り方面に向かっていると、マーケットがあって、多くの小さな店が出ていた。とにかく暑いので、のどが渇いた。商店で、レモン・ソーダの缶ジュースを買って、それでは足らずに、水を買おうとすると、ガス入りの物しか無く、しかたなくそれを買い求める。 とにかく、暑くてくたくたなので、早々に宿に戻り、ベッドにごろんと寝転がる。なにやら腰に違和感を感じる。昨日、自転車を持って、メキシコから移動してきて、今日は人が多くて、慣れないハバナをうろうろして、腰が疲れているようだ。 ラウンジにいると、メイディスが来たので、この辺で夕食をとりたいので、レストランを紹介して貰うと、地元の人の行くレストランがあるという。しかし、メイディスは、これから出かけるので、お姉さんに連れて行ってもらうようにお願いしてくれた。メイディスのお姉さんは、日本語はもちろん、英語も話せないので、無言で後ろについて行くと、同じマレコン通り沿いの10軒ほど隣の建物の2階にあるレストランに連れて行ってくれた。グラシアスとお礼を言うと、デ・ナーダと返ってきた。どういたしまして。と言う意味だ。 座席は、ベランダのような所にあり、ここから海とマレコン通りが見えるので、まあまあのロケーションだ。鶏肉料理を注文する。鶏肉はまあまあ美味しかった。ご飯を豆と炊いた物は、ベリーズでもお馴染みのライス・アンド・ビーンズだが、こちらのはライスがぱさぱさで、この点だけは、ベリーズの物の方が美味しい。サラダは、トマトなどをスライスした物に、酸っぱいドレッシングがかかっていて、見た目は上品だが、味気なかった。それから、瓶ビールも頼む。US$1なので、観光地で買った水やら、缶ジュースと同じ値段だ。帰り際に水も買うが、大瓶なのに、これもUS$1だった。合計、US$8.50なのに、US$10札を渡すが、US$1.00しかお釣りが戻ってこない。昼食時も間違えられたが、わざとなのか、それとも計算がいい加減なのか不明だ。 |