2時間ほどで竹田津港に到着。昼食をとろうと思ったが、フェリターミナルにはろくな店がないので、港の入口にあるトラックの運ちゃんがいりびたりそうな食堂に入る。暗い店の中には客は自分だけで、地元で盛んに養殖している車えびを使った「天然車海老天丼」なるものをたのむ。よくある天丼とは対照的で、衣でごまかさないためか、貧弱と思えるほどの小振りな車海老天婦羅が3匹のっていた。味はまあまあといったところ。900円なり。
国見YHのある伊美港は、国東半島を円とすると、竹田津港から海岸線に沿って30度ほど南の方向へ回ると着いてしまう。そのままいくのでは時間がありすぎるので、今回のサイクリングのウォーミングアップを兼ねて、海岸線を少し北に向かい、そこから内陸に向かい国東半島のほぼ中心まで登り、角度を変えて国見方面へ下って行くコースを行くことにした。
田園風景の中をいきなり登り、トンネルを貫き下る。国東半島をぐるっと回る道路は、半島の中心に位置する双子山からいくつも伸びた小さな尾根をトンネルで貫く。旧道は尾根のやや高いところまで登って小さなトンネルをくぐり、新道は少し登って、堂々と大きなトンネルをくぐるというパターンだ。
午後の強い陽射しの中、谷ぞいに登って行くと、やがて田畑は少なくなり、木々が日影をたくさん作ってくれるようになる。さすが古くからの寺社の多さで名高い国東半島だけあって、道中石像や古寺へ誘う道しるべが多く点在する。
日中の暑さと登りのきつさでだんだんまいってくる。ちょっと集落の分かれ道に出たが、どちらに行ってよいのかわからない。地元の人に聞く元気もなく曖昧に右を選択した。旅も始まったばかりで、人に道を聞くのもまだ慣れない。
登って行くと農作業をしている地元の人にじろじろみられたが、ひたすら登る。ちょっとした峠に着くが、下りはダートだ。一瞬にして短いダートの区間を下り、舗装に出てすぐにT字路を左へ折れた。また登りの始まりである。新しく舗装したての道を数分程登ると舗装が途切れ、行く先は薮になっている。それでも道は続いているのだろうと思い、薮の中をかき分けてみるが、道らしい道はない。
5時頃になり、地図を見てミスコースしたことにやっと気がついた。来た道をそのまま戻るのでは、ダートの登りのある峠を越えなければならないし、そのあとも正しい方向に峠を登らなければならない。夜行バス後の自転車初日とあって、もうへとへとでそんな余力はない。国東半島の中心から見ると予定より反対の方向に出てきてしまっているので、距離はあるがYHとはまったく反対方向(真玉)に下り、海岸線をぐるっと半島をほぼ半周して、YHに向かうコースを行くことにした。結局竹田津港にまた戻るのである。