途中、昨日間違えた道と別れ、最短のコースをたどっているうち、左手に見える丘の中腹に素晴らしい枝振りの白樺の木が見えてきた。タクシーで観光しているおじさん達3人組の一行も三脚にカメラを据えてパチパチやっている。農道を入って行くとその木の根元まで行けそうなので、自転車を押して行ってみる。斜めに傾いたボリュームのある幹に立てかけた自転車がとてもマッチしていい構図である。天候が悪く青空は無かったが、丘の遠景をバックになかなかいい写真が撮れたようだ。
拓真館に着いて写真など撮っていると、昨日民宿で一緒だったカップルに合う。彼らもここに来るのは始めてではないということだ。丘の景色に囲まれたこの写真館は話で聞いて想像するよりはるかに素晴らしく、何度も来てしまう気持ちがとてもよくわかる。
昨日来た道をちょっと戻って、舗装路からダートに入る。丘の中にぽつんと建つ赤い小屋を目指して丘を登って行く。近付いて見るとただの農機具小屋であるが、この丘の風景の中ではとても良いアクセントになっている。
丘のピークを過ぎ、ダートを下って行くとまた舗装路に出た。YHにある情報を中心に編集されたガイドブック「北の大地」によると、ここを東に向かいちょっと横道に入ると、「哲学の木」と名付けられた雰囲気のよい傾いた木があるらしい。その脇道を見逃さずに走って行くがいっこうにそれらしき道がないまま、随分と東に向かってきてしまった。
小雨の中道を探すのが面倒になり、このまま次の目的地に向かうことにする。この道を少しづつ登って行くとやがて美瑛の町から十勝岳に向かう直線の道の途中に出る。途中のダートと工事区間を過ぎ、その道に出たところでまた雨足が強くなってきた。