ちょうど夕食の時間前にYHに到着する。今日は昨日より泊まり客が多く若干にぎやかだ。先に食事を済ませ、風呂に入って汗を流し、足をよくマッサージする。
夜、近くの山にある展望台から眺めると、新得の町を出て札幌方向へ向かう夜行列車がまるで銀河鉄道を彷彿させるという。この話を聞いてみんなで行くことになった。総勢20人ほどの大人数が4台の自動車に分乗して展望台に向かう。
新得の町をつづら折れになって登って行く鉄道の軌跡を直角に2度横切った所あたりから道はダートになった。決して山道に入ったわけではなく、きれいに区画整備されているが、家もなく牧場があるだけなので、砂利がしっかり敷かれているという北海道ではよくあるパターンだ。私が乗せてもらったのは幸運にもオフロードが得意のパジェロだったのですいすい行くが、後ろが着いてこない。昼間乗った愛知県の女の子が運転するレンタカーなどはのろのろ状態だ。オンロードのモーターバイクの切込み隊長も深い砂利にあきれて途中で引き換えしたようだ。
道は直角にまがる度に後続車を待ち、やっと山道らしい登りにはいった。こんなところに展望台があるのかと思わせるような山の中だが、遂に広場のようなところに出た。一応看板のようなものが有り、展望できるポイントが記されているようだ。車を降り、完全に暗闇状態の中、自転車から外して持ってきた自慢の強力なライトを灯す。
新得の町を見下ろせる所でじっと待って銀河鉄道の来るのを待つ。だんだん体が冷えてきたので上着を着込んで待っているがなかなか来ない。展望台のすぐ下にある線路を小さな明りがガタゴト言いながら近ずいて来た。あれがそうかと思ったが、どうやら貨物車のようで先頭の機関車以外の明りが見えない。もう予定の時刻を30分も過ぎたのでいいがげんあきらめ、記念撮影をして帰路につく。帰りもまたダートの道をゆっくり戻る。
YHに着くと、YHの脇の道でYHのペアレントさんと共にスケートボードに夢中だったモーターバイクの切込み隊長は、我々をさわやかな顔で出迎えた。我々は呆れた声で「銀河鉄道は素晴らしかったよ!」などとのたまい、時間的に間に合わなかったことを知っていて出迎えた彼をにやつかせた。
食堂に入って行くと、テレビで北海道地方の地震の速報を伝えている。ついさっきここでも揺れたらしいが、ゴタゴタしていて気がつかなかった。