北海道央サイクリング

北海道央サイクリング 詳細
1993年7月15日 木曜日 丘の景色を求めて富良野から美瑛へ


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走行ルート
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富良野ホワイトYH富田ファーム上富良野深山峠美馬牛峠留辺蕊美馬牛峠拓真館新栄の丘展望台民宿「遊岳荘」
天候
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くもりときどき小雨
5日目のルート詳細地図s5tr
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5日目のルート詳細地図
宿泊先
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遊岳荘
走行データ
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最高時速:51.5km/s
積算距離:422.5km
走行距離:65.14km
走行時間:4時間18分19秒
平均時速:15.2km/s
支払い
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昼食(深山峠)¥1,250
ドライカレー(大盛り)
コーヒー
前田真三テレホンカード¥1,000
前田真三絵はがき集(3部)¥300
遊岳荘宿泊費¥4,600
ビール¥300
旅人のための宿リスト「とほ」¥150
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富良野ホワイトYH 08:20発
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白い花を咲かせたジャガイモs5tr
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白い花を咲かせたジャガイモ
富良野盆地へ下る直線の道s5tr
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富良野盆地へ下る直線の道

今日は富良野から北へ、途中写真でも取りながらこの付近特有の丘の景色を堪能しつつ美瑛に向かう予定だ。バス停で駅に向かうバスを待つ先輩と愛知県の彼と別れる。

途中の公衆電話から美瑛の民宿「遊岳荘」に電話する。予約は意外とOK。この宿は昨日、愛知県の彼から見せてもらった旅人のための宿のリスト「とほ」に掲載されている美瑛の民宿の一つ。季刊のサイクリング雑誌「Cycle Field」に素敵なラウンジの写真入で紹介されていたことを思い出し、ここに決めた。

まず富良野線沿いに昨日行ったワイン工場を左手に見ながら、どんよりした天候の中走る。機械的に整備された盆地の中をあえて避け、丘陵地を抜けて中富良野,上富良野をめざす。

富田ファーム 10:50着 11:40発
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富田ファームの色とりどりの花々s5tr
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富田ファームの色とりどりの花々
富田ファームのラベンダー畑s5tr
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富田ファームのラベンダー畑

地元の農作業車しか通らない道を走って行くと、時折まだ五分咲きのラベンダーやじゃがいもの花、名もわからない作物の白い花が一面咲く畑に出くわす。富良野から中富良野の富田ファームへはどんなにゆっくり走っても30分かからない距離であるが、遠回りをして、ゆっくり写真を撮りながら進む。

丘陵地から富良野盆地へ下る直線の道から進行方向にすばらしい十勝岳が見えた。自転車をいれて写真を撮ろうとすると雲がかかって見えなくなってしまった。雲がなくなるまで休憩がてらにのんびり待っていると小雨が降ったり止んだり。一向に雲がなくならないので、あきらめて出発。富田ファームはすぐ近くであった。

富田ファームはこの付近ではとてもメジャーな観光農園で、ラベンダーをはじめ種々さまざまな花が咲いていた。ラベンダーは他と同様、ピークにはまだ一週間ほど早いようだが、観光バスでどっと押し寄せる観光客でにぎわっていた。旅行番組の取材のためか、タレントとテレビカメラのクルーが来ていた。

農園の中をうろうろして太陽も満足に出てきてポカポカしてきたところで、上富良野に向けて出発。富良野盆地の基線に沿った真っすぐの道を北上する。先ほどの丘陵地とは違い、今度はボーっとしながらひたすら平坦な道を走る。ほどなく幹線道にぶつかった。富良野の盆地のへりを斜めに横切る斜線で、このに道に合流して美瑛方面に向かう。

上富良野 12:00着
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うってかわって交通量の多く太い道を走って行くと程無く登りが始まった。とはいっても、さほど苦しいものではなく、丘陵地を大きく削るように道路はゆっくりと登っている。

深山峠 12:40着 14:20発
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深山峠の花畑s5tr
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深山峠の花畑
花の向こうに丘が広がるs5tr
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花の向こうに丘が広がる

深山峠と言う看板が見えるところの反対車線沿いに展望台があった。車のこないのを見計らって道を横切り展望台へ。なにやら春には桜が美しいのか、大した印象のない展望台であった。それよりも、北海道ではモーターサイクリストやサイクリストに人気のライダーハウスが登ってきた車線沿いにあり、そちらの方が興味津々であった。

もう少し登って行くともっと沿道が賑やかになり、本格的な峠の看板だ。こちらの方が本物の峠のようで、前方はゆっくりではあるが確かに下っている。

反対車線沿いの少し奥まったところに建っているログハウス風のレストランで昼食をとることにした。他の建物と違ってチャラチャラした感じの無いところが気に入った。ドライカレーとコーヒーを注文し写真集など見てすごす。

写真集をよく見ると、このレストランは日本の風景写真の第一人者である前田真三氏に師事し、この付近の丘の景色を撮り続けている地元の写真家の経営だ。別棟にピラミッド型の斬新な風体のギャラリーを持っていて、自身や、ゆかりの人々の作品を展示してある。

雰囲気のよい建物とベランダからの丘の眺め、食事は満足、入場無料のギャラリーにも寄って有意義な時間を過ごし、いざ出発。雲行きが怪しく今にも雨が降ってきそうだ。

交通量の多い道も段々道が細くなり、走りにくくなってきた。ふと道の反対側を見ると斜面を大型のブルドーザーが入って整地を行っている。こんな所まで住宅地の造成かと一瞬思ったが、そんなはずはない。これは、ジャガイモ畑等の農地を造成しているのだ。広大な北海道はもちろん農地のスケールも違う。大型のトラクターで効率よく収穫が可能なように、丘をなるべく平に、そして矩形に近い形にして農地を作る。

美馬牛峠 14:40着
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観光農園s5tr
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観光農園

道沿いに出現した花畑に誘われるように、脇道を土煙をあげて観光農園に入って行く。今度のは小高い丘一面花畑で、スケールでは先ほどの富田ファーム以上だ。写真を撮ってさっさと先に進む。

少し登ると、あっというまに美馬牛峠だ。ここから、東雲湖に同行した富田氏のアドバイスに従い、左に折れて留辺蕊方面に向かう。

留辺蕊 15:00着
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留辺蘂の不思議な木s5tr
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留辺蘂の不思議な木

どうも見所のポイントがつかめないまま、しっかりした舗装路を走る。平たくなった丘を眺めながら走る。小高い丘を巻くような道をハアハアいいながら登り丘の上に出た。農道の先には数本の木が立ち、よい雰囲気をかもしだしている。恐る恐る農道を進んで行くと、立木は見る角度が変わるたびに新しい表情を見せる。

麦畑の中に入りトラクターの大きな轍を避けてゆくと行き止まりになった。この先は丘が切れて急な下りのようで視界に入らない下の方で何かの工事の音がする。来た道をすごすごと引き返す。

丘を大回りに回ってさっきの急斜面の付近に来ると道路の舗装工事をやっていた。道は整地されているがどこもまだ見舗装だ。そのまま当てずっぽうにコース取りをして何とか美場牛峠に戻れるように走る。

この付近はほとんど車も通らず静かで、小川のせせらぎがはっきり聞こえる。やがて舗装路に出て小雨の中をちょっと登って広い丘の上に出ると右前方にぽつねんと木が見える。地図上の現在地をほとんど確認できていないので、帰りの大まかな方向を見失わないようにその木を目指して走って行くことにする。

舗装道路から折れ、砂利の農道を少し下った所にその木はあった。実はこの木、遠くで見ると1本だが、近くで見ると種類の違う木が寄り添うように2本立っている。軽トラックで来て農作業をしている農家の人は一生懸命構図を決めてカメラを構える自分をちらっと見ただけで、関心を示しもしない。案外こんなふうに訪れる人も多いのかもしれない。

美馬牛峠 15:30着
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留辺蘂の丘の景色s5tr
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留辺蘂の丘の景色

とにかく左に向って行けば、大きく留辺蕊を半時計周りに一周し、きた道に戻れるに違いない。徐々に丘を下って行くとやがてそこそこの大きさの車道に突き当たった。これを左折し平坦な道を快走すると、先ほどの美場牛峠の手前に出た。

また同じ道を登って美場牛峠へ。ここからは国道を離れ美場牛駅方面に下り拓真館を目指す。拓真館へは一度川まで下り、再び丘のうねりの中を走って行く。目的地が一緒だと思われる大型観光バスに何度も抜かれる。

拓真館 16:10着 16:50発
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拓真館の小さな駐車場には大型観光バスが止まりとてもにぎやかだ。自転車を止めて用を足し、中へ入るともちろん中にも人が多い。ハイビジョンモニターがあったが電源は入っていない。館の人に聞くとレーザーディスクプレーヤーがうまく繋がらないのでメーカーの人を呼んでいるところだと言う。あの噂の前田真三氏撮影ハイビジョン作品「四季の丘」が見れないのはとても残念だ。

テレフォンカードと絵はがき3セットを購入し時間もないのでさっさと出発する。拓真館付近は周囲を歩いている人も多く、カメラを抱えて干し草などを背景に写真を撮る風景があちこちで見られる。観光バスや自動車で訪れた人は、こういった観光ポイントでもなければ地に足を付けて自然を満喫することもできないのであろう。自分がこの地を自転車で回っていることが、とっても幸せに思えてきた。

これから新栄の丘展望台という所を経て民宿に向かう。拓真館のそばの十字路を右に折れアップダウンをいくつかこなすうち、近くのダムへの分かれ道に出た。地図で確認するとミスコースであることがわかった。この付近、分かれ道が多い割には建物や高圧線など目印になるようなものはほとんどない。日本の他の場所と同じ感覚では走れないなと思う半面、何も考えずのんびり走るにはいいなと感じた。

新栄の丘展望台 17:20着 17:30発
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新栄の丘展望台にてs5tr
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新栄の丘展望台にて

0分ほどの遠回りになったが、これまた楽しい風景に出合うことが出来た。予定のコースに途中から戻り、美瑛線の線路を渡ってほぼ美瑛線沿いに登る丘へのアプローチが始まった。程無く新栄の丘展望台に着いた。

周囲の丘の風景を180度以上見渡せる、素晴らしい展望台だ。展望台にはトイレやベンチの設備が充実しているが、決して嫌みがない程度で周りの丘の景色に溶け込んでいる。駐車場にはバンなど大き目の自家用車が数台止まっていて、なかの人は何かするわけでもなく、じっとしている。きっとここからの美しい日没を期待して待っているに違いない。

写真など撮ってのんびりしようかと思っていたところで、どんよりとしていた空がついに泣き出した。ここから民宿まではそんなに距離はないはずだ。丘から下るうちに雨が本格的になってきた。

民宿「遊岳荘」 17:35着
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丘を下るとあっというまに民宿「遊岳荘」に到着。雨の中、とりあえず雨を遮るにはこころもとない軒下に自転車を止め、バックを外してチェックイン。雑誌の写真で見たとおり、建物は新しく木の匂いがする。やっと出てきた受付の女の人に「よしだみのるさんですね?」と名前を間違えられ、いろいろな注意点を聞かされる。予約時にも注意されたが、みんなで食事をするので6時には食堂に遅れないようにとのこと。YHでもないのにちょっと厳しいかなと思ったが、注意は最初だけであとはとてもうちとけた雰囲気だった。

部屋は4人の相部屋で、部屋のなかに階段が有り、上下2人分づつ布団を敷くスペースがある。下はすでに埋まっていたので、しかたなく上に。上は本当に布団2人分のでいっぱいだ。急いで風呂に入っているうちに、隣のスペースに寝ることになる人も宿に到着していた。

同室になった彼は私と同年代の社会人で、モーターバイクで北海道を回っている。礼文島で立ちごけしたとかで、指を怪我して包帯を巻いていた。辛うじて運転できる状態だそうだが、キャンプで回る予定は変更せざるを得なかったいうことだ。

夕食の準備が出来たので食堂へ向かう。出来たての食事のいい匂いが漂う。ほとんんどの料理は大皿で4,5人分一緒に出され、質,ボリューム共に満足できるものであった。夕食の時間が厳密な理由は、このスタイルにあったわけだ。食事をしていると宿の人が「よしだみのるさん」と声をかける。またまちがえてるなと思った瞬間、同室の彼が返事をしている。なんと彼が私「よしだみつる」と一字違いの「よしだみのる」さんだったのだ。彼とはずいぶんと話が弾み、隣のテーブルで始まった酒盛を横目に遅くまで語り明かした。

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