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2年前の飯田線秘境駅サイクリングの再開である。前回訪問が果たせなかった、いくつかの駅を訪ねるのが主目的。 前夜、東京方面で用事があり、その足で東京駅から東海道線の夜行快速列車「ながら」で豊橋まで行くつもりでいたが、東京駅で指定券が取れず断念。平日とはいえ、夏休み期間で、青春18きっぷの利用期間中だから満員なのか。もしかしたら、当日の夜の集中豪雨のためのダイヤの乱れが、影響し、新幹線に乗れず「ながら」に切り替えた乗客なども居るのではないかと推測。実家に泊まることにし、翌朝からの出発に切り替えた。 |
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桶川駅から湘南新宿ラインの始発列車に乗車。座れはしないが、空いているので、BROMPTON持参だだが、何とかなる程度だ。 |
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湘南新宿ラインは、赤羽、池袋と停車する際に、少々混み合ってきたが、大きな問題はなく、新宿駅に到着。 中央線快速列車の高尾行きに乗り換える。こちらはさすがに朝の下りということで空いているが、それでも、座れる程度ではない。 |
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高尾駅に到着。 甲府駅行きの列車まで時間があるが、ホームで待っていると、河口湖行きの列車が到着。とりあえず、大月駅まで行ってみようと思い、乗り込む。 |
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大月駅の次の駅(富士急行線の上大月駅)まで行って、自転車で戻ってこようかと思ったが、切り離しなどのためにすぐに出発しないようだ。これでは、甲府駅行きの列車に間に合わないと断念。 大月駅で吉田うどんを食べていると、8時45分に富士急行線が到着。これを知っていれば、大月駅から上大月駅まで自転車で走り、この列車で戻ってくることも可能だった。私鉄の詳細な時刻表を持っていなかったことを悔やみながら、甲府駅行きに乗車する。 |
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1時間弱で甲府駅に到着。松本駅行き列車に2分の接続だ。さすがに同じホームの反対側に待機しているので、すんなりと乗り換え完了。 さて、ここからどのように飯田線に乗り換えるか、時刻表を見て考える。素直に岡谷駅で乗り換えても、今日、目的の秘境駅、小和田駅,中井侍駅に行くとなると、宿泊予定の駒ヶ根に戻るのがかなり遅くなる。であれば、秘境駅訪問は明日にして、何処か他の場所に寄り道輪行しようと考える。2年前に同じルートで飯田線まで行っているので途中はほとんど輪行し潰しているので、岡谷より先である、中央西線や、篠ノ井線の駅で輪行してみようと思い、いろいろ考えた結果、まずは終点の松本まで行くことにした。 |
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松本駅で、松本電気鉄道上高地線に乗り換える。初めて乗る路線だ。 松本電気鉄道は、JRの大糸線のホームと共有で、途中改札はない。きっと経緯があるのだろう。 間違えて列車に乗る観光客が多いのだろう、行き先に関して、しきりにアナウンスして、注意を促している。 |
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松本電鉄上高地線は30分ほどで、終点の新島々駅に到着。 到着したホームから進行方向を見ると、前方には、まだ線路が続いている。以前はこの先にも駅があり、運行されていたと言う話しを聞いたことがある。 列車を降りる際にはじめて気が付いたが、列車のボディーに「自転車専用口」と脇に書かれているドアがある。これはきっと自転車をそのまま積み込めるのだろうと思い、駅舎に向かうと、でかでかと「サイクルトレイン運行開始」と書かれていた。精算窓口で、青春18きっぷを見せて松本駅からの運賃を清算し、別な窓口でサイクルトレインについての案内チラシをもらうと、コンセプトは観光客向けではなく、地元の通勤通学利用者を対象とした物で、事前登録して、繰り返し使ってもらおうという考えのようだ。列車内が空いているなら、少しでも利便性を確保し、利用率をアップするのが当然で、経営に困っている地方の小規模私鉄線は、このパターンが増えているようだ。 駅前に出ると、とても広い駅前広場に、大型のバスが止まっている。多くの観光客が、ここからバスに乗り換えて、上高地に向かうようで、精算時にも上高地までのバスチケットを買い求める人が多かった。そして、立派な駅舎には大きく「新島々バスターミナル」と書かれていて、鉄道駅の表記は、通りに面した壁に有るだけだった。 BROMPTONを組み立てて、国道158号を上高地方面に向かって走り出すと、1.5kmほどで、梓川を跨ぐ橋にさしかかり、前方に山々が見える。気分はもう上高地。でも、今回は上高地まで行くのではなく、橋を渡ったところから梓川沿いの、松本電鉄線のルートより少々北側に位置する県道に入り、松本方面に下る計画だ。あまり考えずに数時間前に考えたルートだが、勘は当たり、交通量の少ない森に囲まれた田舎道を、気持ちよく下るルートだ。時折現れる集落も、しっとりした旧家が並び、とても良い感じだ。 |
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県道をどんどん下ると、松本市中心部に近づくにつれ、だんだん集落が大きくなって行き、完全に街中を抜けるようになる。そして、交通量も増えてきて、走りにくくなってきたと思ったら、道は一度離れた梓川に近づくように進路を変え、ついには大糸線の踏切を越えるところで、すぐ右脇に梓川を見ることになる。 大糸線の踏切を渡って、すぐに左に曲がると、すぐに梓川橋駅。踏切からもホームがよく見える。予定通り、この小さな駅から大糸線に乗って、松本市内に向かうのだ。予定の列車は、13時59分だが、遅れが出ているようで、駅のスピーカーから5分ほど遅れているという自動アナウンスが流れている。 畳んだBROMPTONを持って、ホームで待つこと数分。松本駅行きの大糸線が到着したので乗り込む。 |
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予定通り、松本駅の一つ手前の北松本駅で大糸線を降りる。この駅の方が、松本城に近いし、なんといっても、小さな駅なので、自転車を持っての出入りが楽だ。 お城口と書かれた東側の出口から出て、BROMPTONを組み立て、名城松本城にに向かって真東に走り出す。 |
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松本に来るのは1997年の善光寺街道サイクリング以来なので、11年ぶり。久しぶりに訪問する松本城だが、何度来ても、その風格は変わらない。前回自分と自転車を入れた記念写真を撮影した赤い橋のある場所で、11年ぶりに写真を撮る。最近、自分を入れた写真を余り撮らなくなったが、このお城を背景にすると、つい記念撮影がしたくなる。 |
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一度、松本駅に行き、塩尻方面の列車を確認すると、まだまだ時間がある。観光案内所で、松本市内のイラストマップなど戴き、見ていると、昔訪れた、白壁の町並みがあることを思い出した。まだ時間があるので、行ってみようと思い、再びBROMPTONを組み立てて、向かう。少々道を間違えたが、懐かしい町並みに遭遇。こういう古い建物が並ぶしっとりとした町並みは大好きだ。とても古い建物を使ったカレー屋も健在だ。 あまりのんびり出来なかったが、11年前の記憶を呼び起こしてから、松本駅に戻る。あまり時間がないので、焦って、篠ノ井線のホームに向かい、飲み物を買って、中津川駅行きの列車に乗り込む。 |
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あえて、中央西線方面行きの列車を選んだのは、塩尻駅の一つ先の洗馬駅に行くためだ。この駅は、大学生の時の最初の長距離ツーリングである、中山道を走った際に、泊まった駅だ。もう四半世紀前になるが、その後、11年前の善光寺街道サイクリングでも、最後に訪れているが、この駅で輪行したことはない。 松本駅から30分ちょっとで、洗馬駅に到着。木造の古い駅舎は現存していてほっとした。11年前に寄ったときは、すでに無人駅になっていたが、25年前は、若い駅員さんが当直していて、サイクリングで訪れた私を、非公式ながら駅のベンチで寝ることを許可してくれ、お茶などももいただき、いろいろ話しをして、翌朝、一緒に写真を撮ってくれたのを思い出す。当時、隣の塩尻駅の位置が移動し、塩尻峠の下にトンネルが出来て中央東線のルートが短くなり、各駅間の距離が大きく変わり、運賃計算が大変だと漏らしていた。また、洗馬の集落に住んでいる通勤客は、定期券を買ってくれているが、顔見知りなので、ほとんどが顔パス。定期券の期限を記録していて、切れそうになると声をかけるという、ローカル駅のんびりな状況が印象的だった。 25年前は暗中模索で、野宿のサイクリングを始めたが、それは中山道の旧街道の旅のおもしろさに目覚めた、記念すべきサイクリングで、今のサイクリングのルーツとも言える。駅舎の中に残る、その時に私が寝たベンチは、今でも健在で、その旅を今でも思い出させるモニュメントだ。ベンチを含め駅舎は保存が良く四半世紀前よりきれいになっているぐらいだ。 また何年か後に訪れることもあるだろうと、駅を出て、塩尻駅方向に向かうと、すぐに、中山道と善光寺街道の分岐点にある追分けが現れる。この追分けの前で写真を撮るのも3度目だろうな。等と思いながら、ひたすら塩尻駅にハンドルを向ける。 |
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この付近は、何度か旧道を走っているので、今回は時間もないので、最短で解りやすい、国道19号線をひた走り、塩尻駅に向かう。塩尻駅方向の案内看板がある交差点を右折して、洗馬駅を出てから15分ほどで塩尻駅に到着。 時間があるので、土産にワインなど買おうと思い、駅の売店で買おうとするが、観光客が並んでいて、なかなか列が進まずに、列車の出発時間が迫り焦るが、なんとか購入。昔、サイクリングの帰りにこの駅を列車で通ったときに、同行の人が、うまいワインがあると言って、待ち時間に買ってきてくれたワインの味がうまかったことを今でも思い出す。 |
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塩尻駅でギリギリに乗り込んだ列車は、長野駅始発で乗り換え無しで飯田線の飯田駅まで行く、快速列車「みすず」だ。南北に長い長野県で、同じJRでも運営会社が異なるのに、県庁所在地と、各方面を結ぶ快速列車を走らしているのは、とても好感が持てる。 駒ヶ根駅は何度も輪行しているので、今回は一つ手前の大田切駅で降りおうようと思ったら、快速列車なので、停車せず通過だった。仕方なく、いつも通り、駒ヶ根駅で下車する。 |
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例によって、もう常宿と化している駒ヶ根YHのある駒ヶ根高原に向かう。何度も来ているので、今度は違うルートで行ってみようと、大田切川に近い、一番北側のルートを、東に向かう。向かう先は高原なので、駒ヶ根の街からは、中央アルプスに向かって登りになるが、慣れていることもあり、それほど苦にはならない。ここのところ、体重が軽いこともあり、快調なペースで登り、中央高速道路を潜った先からは、谷は狭くなってきて、一つ二つと南側の道に移動することになり、やがてメインルートの県道に合流することになる。 中央アルプスの麓の山際に近づくにつれ、どんどん暗くなってきて、ついには日没。駒ヶ根高原に来たときは、必ず寄ってソースカツ丼を食べる、喫茶店「ガロ」に到着したが、臨時休業でがっくり。 その先の、こまくさの湯につかり、今日の汗を流すのも恒例なので、夕食も同じ場所で取ることにして、先に温泉でのんびりしていたら、出たときには、食堂は閉まっていた。先に営業時間を確認してから入浴すべきだったと反省。 |
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こまくさの湯を出て、周辺の食事を出来そうなところを、いくつか回るが、どこも営業はしていても、すでにラストオーダー時間を過ぎていて、入店出来ない。夏の行楽シーズンとはいえ、平日だとこんな物かとガックリ。まあ、ダイエットしろと言うことかと思い、夕食は諦め、宿泊予定のYHに向かう。 いつもの通り「ただいま。」とYHの扉を開くと、ペアレントご夫妻が、快く出迎えてくれる。YHにある大きな時刻表を見て、明日の秘境駅の訪問予定を考えた後、ご主人とは、遅くまで、語り明かす。眠くて何を話しているか解らなくなったので、就寝。 |