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例によって、前日の仕事が遅かったので、帰宅してシャワーを浴びてから、軽く朝食など食べながら、準備。1泊なので、気軽な物だ。少々ぼーっとしながら、早めに自宅を出発。 |
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高崎駅に、予定の電車の出発時間に余裕で間に合う。いつものように、改札近くまで自転車を転がしていって、BROMPTONをパックする。 予定の電車に乗り込み、腰掛けてぼーっとしていると、眠くなる。水上駅は終点だし、同行者も2名同じ電車だから、問題はないだろうと、爆睡する。予報に反して、天気が良い。 |
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水上駅の2駅ぐらい手前で目が覚める。車窓の景色を眺めていると、同行のSさんが現れる。途中駅から乗り込んだが、私が爆睡しているので、声をかけなかったとのことだ。もう1人の同行者のKさんももちろん同じ電車に乗っているとのこと。 水上駅に到着して、下車。天気がよく、日差しがまぶしいので、いっきに眠気がとんでしまった。今日の同行者は、コースを企画してくれたKさんと、主賓のSさん。群馬に仕事出来ていたSさんが引き上げるので、送別サイクリングなのだ。Kさんは、12インチのBD-Frog、Sさんは、18インチのTartaruga。私のBROMPTONは、16インチなので間になる。それぞれ、手際よく自転車を組み立てて、準備万端。暇なタクシーの運転手が、3台の変な自転車が組たたるのをじっと見ている。 水上駅は久しぶりだ。学生の頃、クラブランでこの駅から走り始めて、雪の中、峠を越えて、日光方面に行ったことがあるが、駅の様子や、途中の景色はほとんど覚えていない。 駅を出て、すぐには国道には出ず、裏道を走って、行く。車が少なく、静かで、朝の日の光と、新緑の緑がまぶしい。空気もきれいだ。 |
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国道に合流して、緩やかに登ってゆくと、途中、藤原ダム方面の分岐点に出る。以前来たときは、こから藤原方面に行ったはずだが、工事で道の様子がずいぶん変わったようで、全く思い出せない。これから、谷川岳方面に直進するが、今日の宿は藤原方面なので、またここに戻ってくることになる。 ここから先、国道291号線は通り抜けが出来るルートではないからか、交通量が比較的少なくなり、すぐに湯桧曽駅脇を通過し、橋を渡るとすぐに湯桧曽の街に入る。中心部の道沿いに足湯があり予定では、帰りにここに寄ることになっていたが、なにやらこれから工事をするそうで、もうすぐお湯を止めるとのこと。往路に入ってゆくことにする。 |
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湯桧曽を出て同じようなペースで湯桧曽川沿いを登ってゆくと、いきなり右手に土合駅が現れた。この辺は険しく、上越線の大半はトンネルの中を通っているが、この駅はその地中深い所にトンネルホームがあるが有名だ。上りホームは、普通通りに、この駅舎の脇にあるが、下りホームは、改札を入ってから10分も歩いて、地中深くに潜らなければならない。逆に下りの上越線でこの駅まで来たら、自転車を持って、階段を上がらなければならない。空荷の下りで10分だから、自転車を持っての上りは想像も付かない。きっと、輪行したくない駅No.1だろう。 むかしから、そんな土合駅は興味があったが、来るのははじめて。駅舎内に入ったり、写真を撮ったりしてから、走り始める。 |
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いままで川沿いに単調に登ってきた国道291号線だが、土合駅を過ぎると、本格的な山岳ルートで、道は、くねくね曲がって、ぐいぐい標高を上げてゆくことになる。 湯桧曽川を渡るところの上流側に、人工的に川をせき止められてできたような湖があり、そこから湯吹きの滝が流れ落ちている。たまに飛んでくるしぶきが心地よい。 ここからの道は、川沿いから離れ、地形的にもきつくなってきて、ぐいぐい標高が高くなり、先ほど休憩した土合駅が遙か下に見える。駅舎脇を通っている上り線の鉄路でさえも、今登っている道の脇に埋まっている清水トンネルを通っている。 何度か、つづら折れの道を経ると、谷川岳ロープーウェイの駅が見えてくる。このロープーウェイは一気に谷川岳に登ることで、著名だが、見たのははじめて。何年か前にリニューアルされたようで、とても近代的だ。 |
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谷川岳ロープーウェイの駅を過ぎると、いきなり急な上りだ。ほんの短い区間だが、この先は、車が通り抜けられるわけでもないし、冬季は通行止めの区間だから、こんなものだろう。 そんな道も、普通の谷筋の道に出ると、すぐに勾配は緩やかになって登りやすくなった。地形図を見ると、ルートはほぼ等高線に沿っていて、左側の斜面から湯桧曽川に流れ落ちる支流があるところで、等高線と合わせて、ぐっと左側に食い込み、支流を渡って、また戻るようなことを繰り返していのが見える。 予定通り左に向きを変えてゆくと、前方に山肌に雪渓の残る沢らしき物が見えてきた。マチガ沢だ。道の脇のスペースに駐車場があり、車が何台も止まっている。多くの人が山を見に来ているようだ。写真を撮りながら、ゆっくり雪渓を見ながら、沢を渡って、その一を頂点に、マチガ沢を離れて、また右下に湯桧曽川の谷を見下ろすように走る。 |
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マチガ沢を過ぎると、次は一の倉沢だ。ほんの1,500mほど走ると、今度はもっと規模の大きな雪渓が前方に見えてくる。一の倉沢だ。国道291号は、ずっと先の清水峠で分水嶺を越え、新潟県に繋がっているが、ここまでが舗装道路でこの一の倉沢から先は車両通行止め。大きな駐車場やトイレが完備されていて、マチガ沢より多くの数の車が止まっている。 一の倉沢を越えて、その先に行くと、道はすぐに未舗装になった。これでも国道だが、ずっと昔から清水峠の峠道を車で越えられるようにする予定はないのだろう。1台マウンテンバイクの人が入って行ったが、彼は清水峠を越えに行くのだろうか。また、歩いてゆくグループも見かけるが、良いポイントでもあるのだろうかと思いつつ、我々は入ってゆくこともなく、河原でKさんが入れてくれたコーヒーを満喫して、青空と山々と雪渓の写真をめいっぱい撮り、沢を後にする。 |
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先ほど通った、マチガ沢を通り抜ける。往路は上りの良い休憩ポイントになった場所だが、帰りは、下りなので、景色を見ながらの余裕の走りだ。青空と新緑の緑と、たまに現れる山にかぶった雪をみながら、澄んだ空気の中静かに移動する。贅沢なひとときだ。 |
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谷川岳ロープーウェイの乗り場に到着。自転車を駐車場の隅にロックして、自動販売機でロープーウェイの往復チケットを買って、乗り場に向かう。 外から見ても解るとおり、立派なゴンドラが、小さなタイヤにガイドされて滑り込んでくる。乗り込むと、中には、スキー板を立てかけられるようなバーが付いていたりして、スキー客でにぎわう冬場の様子も想像しやすい。 ゴンドラは、乗り場の建物を出ると、一気に標高を上げて、どんどん展望が開けてくる。下を見ると、未舗装路がほぼロープーウェイのルートに沿って存在しているが、谷筋から離れると、つづら折れの急勾配になる。道幅がそれなりにあるので、歩行者を対象とした物ではなく、あの角度から考えると普通の乗り物は無理。きっと工事用の機材が通る、工事用の索道なのだろうな。などと考えている内にもうすぐ終点の天神平駅が近い。 |
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谷川天神平駅に付いて、屋外から、広い展望レストランに移動して、まずは食事。決して豊富とは言えないメニューの中から、みなカレーライスと谷川汁を選ぶ。カレーライスを大盛りとお願いすると、特別な追加料金はなく大盛りにしてくれた。 遅い昼とはいえ、我々の他にはお客さんがいないので、一番展望の良い座席を陣取る。ロープーウェイがよく見えるポジションだ。決して悪くない新緑の季節だが、平日なので、こんなモンだろう。場所が場所だけに、価格は高いが、おおむね満足できる内容だ。 |
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食事の後は、リフトで、天神尾根に向かうべく、リフト乗り場に向かう。リフトの往復券を購入して2人乗りのリフトに分乗する。近年、スキーをやっていないので、久しぶりのリフトだが、それ以前に、スキーを履かずにリフトに乗るのは、いつのこと以来だろうか。 ロープーウェイの終点天神平には、リフトがいくつかあり、スキー・シーズンにはフル稼働するのだろうが、今は、天神尾根に向かうリフトが動いているだけだ。 たいしたスピードが出ているわけではないが、ゴンドラと違って、オープン・エアーなので、迫力が違う。スキーの時のリフトと違うのは、人が乗っているリフトとすれ違うことだ。そんなことを思っている間に、あっという間に天神尾根に到着。ここから谷川岳は、目の前という感じだ。ここまで、乗り物で来て、歩いて谷川岳登山を楽しむ人も多いのだろうが、遭難等の事故の話しも良く耳にする。やっぱり簡単にここまで来ることができるので、登山を楽しむ人も多く、同じ比率でも結果的に多くの事故となるのか、はたまた、準備が整わないまま、険しい山にいきなり入れるが故の事故の多さなのか。 リフトの終点の建物の屋上から南側を見ると、鳥居があって、神社がある。天神尾根の由来がこの神社なのだろうか。建物を降りて、この神社の脇を通って、小高い展望台に上がり、上州の山々を展望して、来たルートを戻るべく、リフト乗り場に戻る。 |
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上りよりも下りの方が怖いが、その分素晴らしい展望を楽しみながら、あっという間に天神平に下りきる。考える間もなく、先ほど食事をしたロープーウェイ駅に移動して、ゴンドラに乗って下る。 |
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ロープーウェイを、谷川土合口駅まで下ってきて、駅の外に止めてある自転車の所に戻り、出発の準備をしようと思って愕然。ワイヤー・ロックの鍵が無いことに気が付く。これではワイヤー・ロックは開けられないので、切らなければならない。工具は持っているがもったいないので、少々あがいてみることにする。このワイヤー・ロックは、自転車用の物ではなく、スキー板など、スポーツ用具のための簡易な物だ。摩擦でワイヤーを抜けないようにしている構造なので、もしかしたら、可能かもしれないと思い、ちょっとしたものを隙間に差し込んで、摩擦を解消して、開けることが出来た。詳細には言わないが、構造的に、思った通りの状況だったようで、あっけなく簡単だが、そもそもワイヤーも細いので、それほど大げさではないワイヤーカッターなどでも一発で切られる程度の物だから、鍵としてはバランスが取れているとも言える。 少々タイムロスをしたが、ここから湯桧曽川沿いに下りなので、とにかく三人は下り始める。途中、旧清水峠道の旧道の分かれ道の看板があったので、ちょっとだけ入ってみる。旧道整備の一環として、看板が整備されているのは好印象だ。旧道はサイクリストにとって絶好のルートだと思う。 |
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栗沢の交差点にて、我々は選択を迫られる。このまま利根川沿いに上り、藤原湖岸に近いルートを行くか、この栗沢のから、別の谷を上がって、トンネルを越えて、藤原の集落にてまた、利根川沿いに戻るかだ。 どちらもピークはトンネルがあり、標高は変わらない感じもする。ダム湖を見ることが出来るのは、藤原湖岸に近いルートで、上りの苦しさも紛れるのだと思うが、こちらのルートは帰りに残しておき、ここから左に曲がって登ってゆく、はっきり言って面白く無さそうなルートを私が提案して、3人でそちらに行くことにする。 |
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川沿いに登ってゆくと、思ったより早く角度がきつくなってきた。私のBROMPTONは古いタイプで、内装ギアは5段になっているとはいえ、軽いギアが足りない。これでも、軽めの設定になっているはずだが、やはり峠道仕様にはなっていない純粋な非スポーツ車だ。おまけに、軽ギア2段の調子がすこぶる悪く、トルクをかけて10回転もすると、内装の歯飛びが発生する。他の二人も、本格的なスポーツ車ではないが、クランクに多段化の仕組みを入れているので、軽いギアを実現しているようだ。 へとへとになって、藤原トンネルに到着。Kさんが先に到着して休憩している。わたしは、 息切れも甚だしく、その後、Sさんが来ても、なかなかか収まらない。 3人で少々休憩をして、中が少々上りになっているトンネルをトロトロ走って抜け、一気に下る。 |
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奥利根湖の脇を下って、橋を渡って利根川の反対側に出ると、藤原の集落のT字路の交差点で、もう一つのルートと合流。この交差点を左におれて、利根川の上流方向に向かうが、ほんのちょっと行ったところで、今度は宝川方向に行くために、メインルートから左に別れ、利根川の水面に近いところまで一気に下る。 下りきったところにあるのが奥利根橋で、歩行者や自転車用になっている古い橋の上流側に、車用の新しい橋がかかっていて、しばし利根川を見つめ、河口である銚子からこれだけ上流に来ても、これだけの水量をたたえていることに驚く。 奥利根橋を渡ってからは、宝川沿いに上りになる。川沿いの割には、上りが急だが、すぐにピークに達して、前方下の川沿いに建物が見えてきた。きっとあれが今日宿泊する、宝川温泉汪泉閣にちがいない。 |
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汪泉閣の立派な門をくぐり、敷地に入ってからも、川沿いの高さに下るために、ぐるぐる坂を下り、橋を渡って、宝川の反対側に出て、やっとエントランスへ。 チェックインして、自転車は部屋へ入れさせてもらう。お客様の持ち物だし、特別汚れているわけではないし、至ってコンパクトなので、当然だ。 チェックインの際に選んだ、好みの浴衣を着て、早速この宝川温泉汪泉閣の売りの露天風呂へ向かう。明るい内に到着して良かった!!。宝川沿いに上がってゆくと、露天風呂が点在。さすが、露天風呂の人気ランキングで、上位に必ず入っている宝川温泉だけあって、素晴らしいの一言。露天風呂のすぐ脇には、宝川が流れているが、やはりこの宝川が洪水になったときには、ダメージが大きい。それだけ、自然との一体感が得られる温泉だ。 暗くなるまで、露天風呂を満喫し、部屋に戻る前に食堂にて食事。こちらも豪華。山の幸豊富で、ついビールをぐびぐび。走った後の露天風呂の後、最高の食事とビールでした。 |